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て言うほど行ってない人間の

2015/沖縄国際映画祭①

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(過去分を転記)

3/25~29開催。

吉本興業主催の、映画ありお笑いあり、ライブありのお祭りだ。
第7回の今年からは「島ぜんぶでおーきな祭(さい)」がメイン
タイトルで、“沖縄国際映画祭”はサブタイトルになっている。
レッドカーペットでは斎藤工はじめ有名俳優やお笑い芸人たちを
たくさん見られてテンションあがった~♪

 

今後公開される新作上映ももちろんあって楽しみなのだけれど。
映画プログラムは5つに分かれており、そのひとつの特別上映ーまた
その中の“桜坂映画大学”はとても興味深い企画だった。
芸人数人が、特別講師と一緒に上映中にマイクでしゃべり続ける。
芸人は該当映画初鑑賞がほとんどだが、講師である監督や俳優が逐一
解説をしてくれるのだ! なんと贅沢な上映会だろう。
つまり、見たことある映画のほうが「このシーンはそう撮っていた
のか」「そういう意味だったのか、へ〜」などと味わうことができる。
私は未見の映画ばかりを選んだが、でもとてもありがたかった。

 

まずは『ワンダフルワールドエンド』(日本)。
特別講師:橋本愛、松居大悟監督、登壇:山里亮太(南キャン)、
中川パラダイスウーマンラッシュアワー)、デニス

橋本愛×ミスiD2014グランプリの新星女優・蒼波純のW主演。
売れたいと願いもがく地下アイドルのような高校生が、いつも
ファンとして来てくれる中学生女子に声をかけ、彼氏に紹介す
る。実は家出少女であり、ふたりが同棲中の部屋に彼が少女を
入れたことから恋人関係がおかしくなり・・・。

彼氏を取り合うなんてストーリーではなく、いや物語はあって
ないような不思議な世界観なのだ。
だから監督は「理屈で見たらダメ」
山ちゃん「考えるな、感じろってことですね!」そうそう。

そうして皆でおしゃべりしながらDVDを見るような上映会。
もちろん映画館の大きなスクリーンなのだが。
蒼波純が初めての映画出演で「この子、慣れてないから時々カメ
ラのほうを見ちゃうんですよ。やっちゃいけないことやっちゃうん
ですよね」
(少女ふたりが互いを撮りあうシーン)
「これは本当に彼女たちが撮った映像で、セリフは全部アドリブ」
「へぇ〜!」
そうそう、学校の女子トイレのシーンも橋本愛が自分で持ち込んだ
スマホの映像そのままで、「女子トイレ入れないんで本人に撮って
もらった」という上映前の説明に中川パラダイスが「女子トイレが
見られるんですねっ!!」・・しーん。
山ちゃん「パラちゃん、変態発言ダメっ!!」

「監督、この音は?」「不協和音。ふたりが近づけば近づくほど、
不協になるという・・」「あ、空の音じゃないんだ」「ふたりの感
情を表してる」
「監督っ、なんでゾ○ビになってるんですかっ!」
「感じてくださいっっ」
「監督ぅっ! なんで○○が××になってんですかっ!!」
「考えちゃダメですっ、感じてくださいっ!!」
・・会場笑いの連続。
そう、考えちゃダメなシーン連発な映画なのだ。

冒頭で山ちゃんたちが登場して「あれ〜?こんなに歓声がない
ものなの?」で笑いが。皆の目的は橋本愛なんだな。早く愛ちゃん
出せよ!って圧力が・・。仕事の都合で橋本愛は上映後に登場。
この映画は大森靖子の歌がモチーフになっていて、橋本愛はもとも
とファンなので劇中で歌うシーンは「けっこう日常です」。いつも
歌ってるとか。
ある人物をベランダに追いやって体をドアでバシンバシンと挟む
シーンがあるのだがアドリブで
「愛ちゃん、どんな気持ちで?」「100%排除の気持ち!」
イヤ〜な所属会社の社員(役)にも「だいっっっきらい!」

ゾ○ビが、車にひかれそうになる人を引き寄せるシーンも偶然の
アドリブで、
監督「本当に危なかった」とのこと。
ゾ○ビが××になるのは?「感じてくださいっ」・・・。
そして主演ふたりが、終盤で役名から「愛ちゃん」「純ちゃん」
と本名で呼びあう・・なんでゃ! それもアドリブで自然な流れで
そうなっちゃったらしい。
最後に、ハリウッド俳優志望の子が出てくるが、「ゾ○ビ撃つの
だったら〜」というセリフがあり、なんとそれもアドリブ! ゾ○ビ
出現のシーンがあることを知らず、偶然彼女が口にして、それが
つながったらしい。へえぇー。
そしてその子は本当にハリウッド目指してて、留学中とのこと。
フツーの舞台挨拶ももちろん裏話が聞けるが、今回は上映中も
ずっと監督の説明が聞けてチョーお得。
橋本愛は「純ちゃんがホントかわいくてー」と何度も強調して
いた。だから、撮りあいっこシーンは感情が高まって高まって
出たセリフだったそう。

最後に講師ふたりが退場してMC山ちゃんと芸人たちのシメのみが
残ったため「さて~、ステーキ皿にはもうパセリしか残っていませ
んが〜」でまた笑いが。
彼らが登場しても、歓声はないし、一緒に鑑賞するために舞台から
客席に降りても客は誰も握手も触りにも来ない、こんなにオレら
人気ない~?と自虐。
いやー、お得だし楽しい上映会だった。

監督「男性と女性で感想がすごく分かれるんですよ、若い女性は
ゲームセンターのシーンで泣くらしい」・・わかる! 私もめっちゃ
うるうるした。中年だけど。
私はゲームセンター経験はほとんど社会人になってからで、中高生
の時にはそんな場所に行けなかった。でもスクリーンの彼女たちを
見てると、この一時が彼女たちには永遠なんだろうと思うと・・・
泣けるよ。


『劇場版 テレクラキャノンボール2013』(日本)

この映画は大きな宣伝はせず、ツイッターとクチコミのみでAV系作
品では異例のヒットだったらしい。そう、ケンコバの「これは映画
ではありません、AVです!」のコメントでスタートしたのだった…。

登壇:カンパニー松尾監督、松江哲明監督、バッファロー吾郎
シソンヌ、ケンドーコバヤシ

こんなに笑って、笑って笑って笑い転げて涙が出続けた映画は、コ
メディでも今までにあっただろうか!! いや、ない。
AV監督6人が、素人女性をハメ倒して東京から札幌のゴールまで競
いあうドキュメンタリー…そんなエッチシーン満載の映像なんて耐
えられるだろうかと、中年女のワタクシは心配していた。もちろん
気まずさを懸念して。
ところがそのような不安どころか会場は爆笑の渦・渦・渦。手を叩
いて大笑いする方も多数。
エッチの最中でも「チョットこれ、前のヤツのケツ見ながらやるわ
け?」「え、この人オンナ?おっさんにしか見えへんけど…」
コメントしながらの上映なので、芸人のツッコミが絶妙!! 家でこの
DVD見てもこんなに笑えないと思う。なんて楽しく贅沢な時間。
素人をつかまえるので、若いキレイな女子もいれば、ごっついオバ
サンも現れるわけで・・道で声かけるのも大変だが、テレクラだと
会うまで風貌が謎なワケで。
若者はテレクラって言葉すら知らないだろう。かといって中年の私
でも、女だからあまりわからず。昔、経験談を数人の男友達から聞
いたくらいだ。
で、撮影だから顔出し可否とかさまざまな条件によるポイント加算
で競いあうのだ。
フィニッシュやヌキかた(!)にもポイント差があり・・しかし女性
が豊満すぎたりお顔もキレイとはかけ離れていると(!)なかなかコ
トが進まず、この会独特の“臨場ツッコミ”が笑いを増幅させて、観客
は終始腹が痛いのである。
(もともと、ナレーションも「素の声でそれ言う?」とか、字幕も
オモロイというかかなり失礼なコメントもあって笑えるのだけど。)

エッチより何よりもっとオソロシイ加算ポイントがあるのだが、そ
れを公開時には「ネタバレ禁止」と客にお願いしたらしい。
しかしイマドキ絶対誰かがどっかに書いて拡散するだろうと予想し
ていたのになんと、皆が守ってくれてネタバレされなかったらしい!
奇跡だぁ。
でもそれが隠されて「感動した!」「こんなに笑える映画はない」と
いう方面のみの感想に「騙されてまた客を呼んで動員数上がったん
ですよ」なるほど〜。
今後、DVDをご覧になる方のために私もネタバレしないでおこう。
いやぁオソロシイ。この上映会でも悲鳴が何度も上がった。笑いも
だけど。監督がふたりもいらっしゃって撮影秘話もいろいろ聞けた。

続編希望の声も多いそうだが「あまりにもよくできたので、これを
超えるものは作れない」…そうだろうな、ホント傑作だと思う〜。
それに「こんなこと続けたら、そのうち誰か死んでしまう」
…たしかに! めっちゃしんどそぅ。

ジャンルがジャンルだけに、映画祭チョイスは賛否両論あっただろ
うなぁ。私も、すすめられても映画館には行かないし、DVDも借り
ようと思わない。
この機会で、時間的にも作品がこれだけだったから見に行ったのだ。
ありがとう、島ぜんぶでおーきな祭!!


マダガスカル3』(アメリカ)アニメ

先に見た2本が、監督の解説つきでとーってもよかったため、これも
期待してしまった。ところがところが。(ちょっと苦言)


登壇:あべこうじ、パンサー、しずる

6人も登場して、なんと誰ひとりとしてマダガスカル3どころか、1も
2も見たことがないと言うのである。ガッカリ。
だから、映画のメインキャラであるアレックス・マーティ・メルマン・
グロリアも彼らには初耳だし、ペンギンズの知識もゼロ。
ただただ初めて見るこどものように「うわー、ペンギンすげー」など
の連呼であった。吹替の柳沢慎吾の名前も出てこない。私のほうが詳
しいぞ。ペンギンズが主役のアニメもあるし毎週見ていたんだから。

もちろん、ツッコミ多数でそれはそれで楽しかったし、あとでプログ
ラムを見てみたら、この映画だけ“特別講師”がいないのだと気づいた。
なんだ、この上映だけ趣旨が違ったのか。と納得しそうになった。
しかしよく読んで「そうだったのか」と思うのであって「生オーディ
オコメンタリー上映・舞台挨拶など、芸人と一緒に、その映画に造詣
が深い特別講師をお招きし、映画の新たな楽しみ方をご提案します。」
と書いてあるのだから、これにも詳しい人が来ると思うじゃないか。
登壇芸人の中にそういう人物がいると考えるじゃないか。
なのでものすごーくがっかりした。

邦画と違って、この監督や制作者などをお呼びするのは難しいだろ
う。でもお笑い芸人って数も個性も多様なので、たとえばほとんど無
名に近い芸人は仕事が少ないからこそ“USJ芸人”のような、週に何度
もかの地へ行き、かの地を知り尽くして誰にも負けない!という人がい
る。暇だから、ジブリやドリームワークスにめっちゃ詳しい人も探せ
ばいると思う。素人に近い人でいいので、ひとり、そういう方をまじ
えてほしかった。せめて、6人のうち1人か2人は、この映画の1・2を
見てきてほしかった、というかそうすべきじゃないのかな。

「お客さんで1・2を見た人、教えてくださーい」という展開。
でももちろん単なる上映会より、彼らのツッコミや感想があって
一緒に楽しめるのだからすごくおもしろかったけどね。
1も2も好きな私は、この3も感動したし、泣きそうになったよ〜。

この桜坂映画大学での上映は全部で9作品。『そこのみにて光輝く
や『野生の証明』『ガーディアンズオブギャラクシー』などもあり
見たかったのだが体がひとつしかないので私は3作品のみ鑑賞。