鶴ならぬ、雪豹の恩返しみたいな。
コンペティション
『雪豹』(中国) ★東京グランプリ / 東京都知事賞
本年5月に急逝したチベット人監督ペマ・ツェテンの最後の作品のひとつ。舞台は白い豹が生息するチベットの山村。若いチベット僧と豹との交流をファンタジックな設定の中に描き、人間と動物の共生の可能性を問う。
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP13
なんせ雪山が美しい。
雪豹の出現で、カメラに収めようとテンションが上がりまくりなテレビスタッフ、しかし自分の羊が9匹も殺され、損害や憤りが激しく雪豹を囲う一家の兄。
保護動物だから逃がせという村長らしきお上。ハナシが平行線をたどる。
これ、ツラいな~、どちらの言い分も分かるし。
チベットの社会問題も絡んだストーリーらしい。
ただ、グランプリは意外だった。
新聞記者の星取り表でもこれは平均3くらいで、『ペルシアン・バージョン』のほうが高かった気がするし、私も後者のほうが良かったと思う。
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切なく、ノスタルジーも誘うような。
ワールドフォーカス
『 Totem(原題)』(メキシコ/デンマーク/フランス)
7歳の少女ソルは、祖父の家で父親のためのパーティーの準備を手伝う。やがて彼女はその日がかけがえのない日になることを知る…。ベルリン映画祭でエキュメニカル審査員賞を受賞。
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3604WFC15
末期ガンの父親の誕生日パーティ。
彼も、彼の妻も、娘のソラも、集まった家族もそれぞれの思いを抱えて、でもあまり表に出さないように時間が進んで行く。
なんだか見ているだけで泣きそうな、でも淡々ともしているような。
ちょっと眠気もくるけど、観たい作品。
娘ちゃん、良かったなぁ。
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こじらせ女子のハナシかも。
ワールドフォーカス
『 ひとつの愛 』(スペイン)
スペインを代表するイザベル・コイシェの最新作。山間の村の一軒家で暮らす女性と、ドイツから移住してきた隣人の男性との奇妙な関係を描く。サンセバスチャン国際映画祭コンペティション作品。
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3604WFC16
なるほど交換条件で割りきった関係ね、と思いきや、意外と重かった。
最初は嫌だと断った主人公だけど、そのうち彼女のほうが男性を求めている。
で、いろいろ矛盾もしてるんよね、田舎がいいと移住していながら噂されるのを怪訝に感じたり、近所の人の考えを批難したり。
あつかましいかと思えば控えめになったり。
でもなかなか変わっていておもしろい展開だった。
大家の行為は許せないけど、彼女の言動もなんだかなぁ、それも人間くさいのだ。
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残念ながら、「??」で終わってしまった。
『 愛は銃 』(香港/台湾)
台湾期待の若手俳優リー・ホンチーが監督兼主演を務めた作品。刑務所を出て海辺の町で働く主人公が過去のしがらみと苦闘する様を描く。ヴェネチア映画祭で新人監督賞を受賞。
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3604WFC06
メインの女性は3人だったのか、髪型が違う場面があっただけで2人だったのか、もわからず。
ストーリーも把握できず。
"さつまいも" という名前がやたらと出てきたような気がするのだが。
もいっかい、ちゃんと観たい作品。
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めっちゃ見ごたえあった~♪
クロージング
『 ゴジラ-1.0 』(日本)
焦土と化した日本に現れたゴジラ。残された名もなき人々に、生きて抗う術はあるのか。ゴジラ70周年記念作品の本作で監督を務めるのは、山崎貴。絶望の象徴が、いま令和に甦る。
https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3600TOC02
冒頭の島でのゴジラのシーンはいかにも人形で、のだめカンタービレっぽくて笑うのだけど、以降の迫力はスゴい。
ゴジラってキャラクターしか知らず、映画ってなんですのん。ストーリーとかありますのん。
という認識だった。
こんなスケールが大きいものとは思わなかったので、見られてよかった。
おなじみのテーマ曲がずいぶん後半に流れて、テンションが上がった。
ただ、気になった点が。
建物や服は戦争前後なので古っぽくしているが、眼鏡がどの人のも指紋ひとつ汚れ曇りひとつなくピカピカなのだ。きれいすぎる。これはアカン。
しかし、神木隆之介&浜辺美波の二人はすばらしかった。
ラストのサプライズはずるいよな~。泣けたけど。