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て言うほど行ってない人間の

2023 / (TIFF) 東京国際映画祭④

©2023 TIFF

いろいろと楽しい。



コンペティション部門
『 ゴンドラ 』(ドイツ/ジョージア)

 

 

ツバル TUVALU 』(99)、『ブラ!ブラ!ブラ!胸いっぱいの愛を』(18)など、台詞を一切使わない独特のスタイルで知られるファイト・ヘルマーの最新作。ジョージアの美しい山の中を運行するロープウェイで働くふたりの女性の関係をファンタジックな映像で描く。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP06



いい意味で長く、なかなかおもしろかった。
と言っても85分で、矛盾するようだけど、長編なのに短編映画のような味わいがあると感じた。
セリフなし、"OK" とか少し叫ぶとか、歌などは声が入ってる。

2台で往来するゴンドラに女性ふたりが1台ずつ担当して、客も乗ったり客なしの場合も多かったり。
客なしで2台がすれ違う時のやりとりがこの映画の大半で、最初は手を振るような挨拶だけだったのが、どんどんエスカレートしていく。
DIYし始めたり演奏会になったり。くすりと笑える。

仕事中なのだから、悪役に見えるボスの怒りは当然。
でも最後には。。。
色調もかわいいファンタジー


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©2023 TIFF

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やっぱりな… 予想通り~♪


コンペティション部門
『 鳥たちへの説教 』(アゼルバイジャン)


『クレーン・ランタン』(21)で東京国際映画祭芸術貢献賞を受賞した孤高の映画作家、ヒラル・バイダロフの最新作。アゼルバイジャンの森を舞台に、戦争が人々に残した傷がもたらすドラマが驚異的に美しい映像で描かれる。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP10



『クレーン・ランタン』とおんなじやーん。
"同じセリフ繰り返し度" はそれより上かも。
もう何回言うんだ…途中から字幕がなくなること多々。

「結婚式なんだ」という男女、しかし楽しさはなく、なんか世を憂いているというか生きているのがつらそうな。
まぁ、戦争がテーマっぽいから当然か。
映像美はたしかに。
アート系が好きな人向け。


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©2023 TIFF



え、そもそも… なんで。


ワールドフォーカス
『 犯罪者たち』(アルゼンチン/ブラジル/ルクセンブルク/チリ)


自らが務める銀行の金を奪った男が、完全犯罪を実現するためにとる驚くべき行動を描く作品。予測のつかないストーリーテリングのうまさが光る。カンヌ映画祭「ある視点」部門で上映。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3604WFC12



オランダの映画で、完全犯罪をもくろむ男たちの話があって大変おもしろかったのでソレ系かと期待してしまった。
まず、長い。189分は、削って2時間に収まりそう。
音楽は良かった。
ラストは「どうなったん?」やし。
そもそも盗んだ金のありかを言わなくても刑に服せば3年で出られてお金が得られるって法律はどうなってる。
前半と後半で2パートに分ける必要も不明だし、男たちの名前がモランにロマンと似ているし。
終盤で「40代くらいの女性」と言うからまた別の人物登場かと思ったら、がっつり前半の恋仲の若い彼女のことでビックリ。
いや20代だろ、どんなにいってても30代だろう。
あの彼女が40なら、スペイン映画の『ライ麦のツノ』の主人公や冒頭の出産女性がすごいオバアサンに見えて、妊娠可能年齢だったのが驚くのだが。

いろいろ疑問な作品だった。


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©2023 TIFF



人って、そんな変わらないよ~



アジアの未来部門
『 家探し 』(イスラエル)


出産を控えた妻とその夫が首都テルアビブを離れ、夫の故郷ハイファで家探しを始める。夫婦が出くわす様々な物件と人間模様を通して、イスラエル社会の姿が浮き彫りになっていく。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3602ASF05




身重な女性だけが問題を真剣にとらえていて、男性は「なんとかなるっしょー」みたいに楽観して人任せ。
予定や時間は守らないし、近隣女性とも関係がアヤシいし。
呆れて悲しみや怒りのシーンもあれば、ふたり仲良しなほほえましいところも繰り返される。
昔バンドをやってた仲間と再会し、歌う場面はよかったなぁ。劇中やエンディングの音楽も良かった。
義母が女性の味方で、「このバカ息子」と叱るのもいいな。
で、最後にはちゃんとするよ、みたいな態度になるのだけど。
またすぐ戻るんじゃね、と私は思ってしまった。


ストーリーと関係ないけど、気になったことが。
ラスト近くの駅でのけっこう長いショットで、主人公ふたりだけ焦点が合っていて後方を行き交う人々はぼかされて顔は不明なのだけど。。。
その大勢の人々の9割以上がマスクしてるんよね。
んん、メインキャストは皆ノーマスクでフツーの映画っぽいよ。
後方の人々はエキストラではなく、コロナ禍の本当の駅利用者で、その混む時間帯にリアルに撮影したのかな。
そこすんごく気になって、バックの人ばかり見てしまった。


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©2023 TIFF

©2023 TIFF




オルゴールの曲は、ジブリかな。



アジアの未来
ロシナンテ 』(トルコ)



求職中の夫、保険勧誘員の妻、6歳の聴唖の息子の仲良し3人家族。夫が愛車ロシナンテでバイクタクシーを始めて生活が安定したのも束の間、思わぬトラブルが勃発し…。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3602ASF07



ラストはあいまい、途中の展開は楽しめた。
ネタバレになるけど、人助けをしようとかけよったすきにバイクを盗まれてしまう。
そしてずいぶんたってから、鍵を付けたままのバイクを離れる人の場面に出くわし、盗むのか?盗むのか?とドキドキする。

しかしこの夫婦、言い争いばかり。お金に余裕がないとこうなるんだな。
お金って大切。


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©2023 TIFF



暗い映像に、ティンパニの大きな音が印象的。


コンペティション
『 開拓者たち 』(チリ/アルゼンチン/オランダ)



20世紀初頭のパタゴニア地方を舞台に、先住民を殺害することを目的として旅する白人のグループの行動を、白人と先住民の間に生まれた若者の目を通して描く。チリの歴史の中で埋もれていた事件に光を当てた作品。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP12



字幕にやたらと「混血」と繰り返されて、アレこの昭和っぽい言葉は差別語じゃなかったっけ、とドキッとした。まぁ使っていいから出るのだろう。
山崎賢人+柳楽優弥+渡辺大÷3 みたいな "若者" の目ヂカラがすごくて。
あまりセリフがなく、暗いなかでそのギラギラ目が殺害や凌辱への加担についてどう考えているのか。
セグンド、と呼ばれているから「おい2番目」みたいな愛称かと思ったら、彼の名前だったらしい。
アメリカやイギリス、互いを揶揄するシーンなどは興味深かった。

後半は7年後。
今度は過去の行為について裁かれる立場になるのか。
女性の、怒りともなんとも言いがたいまなざしが辛くなる。
そして、白人はやはり "上から目線" なのだ。