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て言うほど行ってない人間の

2020/ (TIFF) 東京国際映画祭①

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©2020TIFF

第33回東京国際映画祭
2020 年 10 月 31 日(土)~11 月 9 日(月)
会場: 六本木ヒルズ、EX シアター六本木、東京ミッドタウン日比谷
日比谷ステップ広場ほか
観客賞:大九明子監督、のん主演『私をくいとめて』

 
東京国際映画祭を久々に取材させていただいた。
コンペティション部門をなくし、海外からの来日監督や俳優や記者
会見も少なく(2週間の隔離受け入れで来てくれた監督たち数人!!)、
私は舞台挨拶より映画鑑賞を、邦画より海外作品を優先した。
40本ほど見たので、8本ずつご紹介。
ネタバレしたものは、最後の8本目に数行開けて記載。


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『ポゼッサー』(イギリス/カナダ)

 

毎回、自力で"脱出"できない苦しさ。

 

予告編と解説
https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP26


奇妙、奇異な映像世界。
他人の体を借りて脳を支配し暗殺を遂行する主人公は、銃を用意し
自分で自分を撃てば元に戻れるのに、いつも引き金が引けない。
でも警察等、誰かに銃殺されて事なきを得る。
それが、ある男性に移って殺人後、自死できないうえ逃げまくって
他人からも殺されない日が続くと、彼を乗っ取った状態に。
愛する家族を巻き込む展開は皮肉で悲しい。
グロいけど、次はどう殺すのかな、と興味がわく内容でもあった。


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『スレート』(韓国)


現代に戻ってからが、また泣ける。


https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP28


スレート=カチンコ、らしい。
アクション・コメディ・ファンタジーと、いろんな要素が詰まって
楽しくておもしろい。さすがの韓国映画
ユーチューバーまで関わるのがイマドキだし、キーマンでもある。
「チャンネル登録と"いいね"をよろしく!」が毎回笑いを誘う。
ほとんどセリフなしの無表情な子役がいい味。
日本でもリメイクしてほしいし、ヒロインは誰かな、あの役は、と
全員分を考えたくなる余韻もいいな。


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『ファン・ガール』(フィリピン)


思てたんとちごた。


https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP11


女子高生が、大ファンのスターの車の荷台にこっそり乗り込む。
大スターが自分で運転して帰るん?とか文化の違い?とかナゾが
多いけど、展開を期待していた。
立ち小便したり家で○○していたり、いろいろあるけど中盤から
予想通りのコトも起きつつ、なぜそうなる?というシーンも多く
冗長で、いつ終わるのかと飽きてくる。
で、最後の最後に主人公のチョット悲惨な家庭状況が明らかにな
り、なぜラストにそれを?と眉をひそめた。
ちょっとモヤモヤした作品。


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『遺灰との旅』(インド)


「インド女と結婚すればよかった」「でも、バカよ」


https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP06


家族っていろいろ。旅するうちに主人公とオジオバ含む家族の
いろんな問題が浮き彫りになり、旅先で出会う車の修理工場の
家族にも事件が…シリアスなはずなのに、ここ笑った。
誰の言葉だったか不明なのだが、映画冒頭で「幸せな家庭は画
一的(だいたい同じ?だったか)だが、不幸な家庭の理由はさま
ざま」だか、そんな感じの字幕があった。
厳格な家長制度で意志を貫けない、外国での苦労、同性愛…。
それぞれの問題を抱えて、バンは進む。

印象的だったのは米国人と国際結婚した男性が漏らした「イン
ド女がよかった。そしたら一生添い遂げてくれる」の愚痴。
すかさず同乗の妹が「でもバカよ。だから一生、男に下に見ら
れて暴言や暴力を受ける」
その循環がずーっと続いていると。主人公のオバで独身の彼女
からしたら、人間は対等という教育を受けて賢く男とやりあえ
る米国女性のほうがいいのだろう。
教育って大事。インド女はバカよ、ってのを女性に言わせる演
出がよかった。
カタいこと書いちゃったけど、ユーモアあるロードムービー


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©2020TIFF

 

『スウェット』(ポーランド/スウェーデン)


私にはぜんぜんダメだった。


https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP29


顔も容姿も完璧、ファッションも生活も女性が憧れるカリスマ。
「は?」「なんで?」ばかりの展開で、彼女の孤独とか思いに
感情移入できない。
めっちゃ評価が高い『幸福路のチー』が私は腹立つくらいダメ
だったので、チーが好きな人はこの映画も好きかも。


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©2020TIFF


『恋唄1980』(中国)


北京ノスタルジー?かな。


https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP19


登場人物たちの、山あり谷ありの10数年。
フツーに中国だな、と飽きることもなく見られた。
中国って今や先端を行っていると思うけど、私の偏見か、80年代は
日本の20年くらい昔なんだと思ってた。なので男女は結婚してなく
ても付き合ってなくてもHしまくってるんだなぁとちょっと驚く。
当時の大学生特有なのかもしれないが。進学者少ないだろうし。
満島ひかりや杏に見えてしまうヒロインたちの、足(脚)長っ。
終盤で亡くなる人物が、自死なのか事故なのか、前者なら何が原因
なのかがナゾで、少しモヤモヤ。


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©2020TIFF

 

『最後の入浴』(ポルトガル/フランス)


おばさん、イタいわぁ。けど人間らしい。


https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP17


修道女として禁欲を誓った伯母が、祖母を亡くした思春期の甥と
暮らすことに。体を洗ってやるシーンでは、大事なところを「た
かが体の一部でしょ」と事も無げに洗うのでさっぱりしているの
かと思いきや、彼の裸や寝顔をこっそり何枚も撮ったり、大事な

試合に故意に遅らせたりとエスカレートしていく。
彼には母親がいるのだが、どうも精神を病んでいるようで、同居
するに至っては予想通りの展開が。
最後に派手にして飲みに出かける伯母、そこからは意外だった。

田舎の風景が美しく、心情もイタイけど、わかるようなわからな
いような同情するような、なんとも言えない余韻がある。


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『バイク泥棒』(イギリス)      ※最後に数行開けてネタバレあり


終盤の怒濤のセリフで、そういうオチかぁとわかる。


https://2020.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3301TKP07

 

仕事用のバイクを盗まれ妻も失業と、窮地に陥る主人公。
ルーマニア移民の厳しさが描かれ、無知な私は驚くのだけど。
それにしてもイギリスって、雇用主が仕事に使わせているバイ
クの車種どころかナンバーも台数も把握してないって、そんな
いい加減な、とそっちのほうがびっくり。

で、バイクを盗まれてからが見どころだと思うのに、盗まれる
までが長い…長い…。ちょっと退屈になった。

 


↓ ↓ ↓ ネタバレ

 


娘の同級生みたいな男の子たちを脅して、他人のバイクを盗もうと

するのだけど、ひるむ男子たちに「俺は初めてじゃないぞ!!」みた

いに叫ぶ。
バイク泥棒された主人公がバイク泥棒になるオチなのね、と思った
ら、もとからアンタもバイク泥棒だったのね、ってことかと。