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て言うほど行ってない人間の

2016/京都ヒストリカ国際映画祭

(過去分を転記)
11/2~13開催。

歴史をテーマに世界の作品を上映する映画祭で、最終日に見させて
いただいた。トミー・リー・ジョーンズ来日で主演映画の舞台挨拶

 があったけど申し込み遅くて満席に…。残念。
新作2つと、過去作1つを鑑賞。

http://historica-kyoto.com/2016/


西遊記 ヒーロー・イズ・バック 』(中国/アニメ)


映像の美しさと、カワイイ声に癒される〜。


〈みどころ 映画祭サイトより〉
三蔵法師の前世である少年・リュウと、400年ぶりに解き放たれた
孫悟空による冒険を描いた迫力満点のファンタジーアクション。中国
産アニメは海外には勝てないという風潮を破り、中国の歴代興収を塗
り替えた話題作だ。監督は構想に8年という時間をかけて個人で細々
と製作を開始。この鬱屈とした現代にあの有名な孫悟空が蘇り、大暴
れすることを想像して完成させた。“ヒーローらしくない孫悟空のキャ
ラクターがなじめない”と、町外れの一軒の劇場からの公開スタート
から、口コミにより異例の大ヒットという成功を収めた本作。

 

もう、CGがスゴい!
そりゃあ、『シュレック』なんかでもさんざん見てきた、動物の
毛並みや肌の質感はもちろんのこと、土けむりに水しぶきのリア
ルさ、中でも目を見張ったのは、竜が大口を開けるシーン。
ヨ、ヨダレが・・・上歯と下歯に何本もビヨ〜ンと糸になって・・。
きったないんだけど、こんなヨダレまで描くのかとびっくり。

戦いは迫力あっても、孫悟空のキャラクターは全然魅力的でなく、
むしろ気持ち悪い。サルというよりは、半魚人ならぬ“半猿人”みた
いで女性受けは絶対しないだろう姿だ。
でも、小坊主さんのリュウが・・・声がかわいすぎる! “一休さん
のようなクリクリ頭で、もちろん中国の子役なんだろうけど幼い
声がかわいくて、影の主人公はこの子だろう、と言いたい。日本
で言えば、鈴木福の数年前といったところか(もう大きいからね)。

ラスト、ちょっとウルッとしてしまうのだけど、セリフひとこと
に救われる。エンディングの音楽に乗せてアニメでその続きが示
されるので、最後まで楽しめる作品。

 

駆込み女と駆出し男 』(日本)


昨年公開された日本映画。
音なしシーン多し、しかし忘れた頃に流れるBGMがどれもよかった。


〈みどころ 映画祭サイトより〉
井上ひさしの小説「東慶寺花だより」を原案に、原田眞人監督が初
めて時代劇に挑戦。いかなる時においても夢と希望を忘れず、独特
なユーモアと台詞で温かく人間を見つめてきた井上ひさしと、第35
モントリオール世界映画祭審査員特別グランプリを受賞した『わ
が母の記』を世に送り出した原田眞人監督という組み合わせにより、
全く新しい時代劇が誕生。現代の2倍あったと言われる江戸時代の
離婚をモチーフに、縁切寺に駆込んでくる女たちの明るく逞しく生
きる姿を描くとともに、江戸時代後期の人々の暮らしや文化をも活
写した人情時代劇。


あとからジワジワくる作品。
最初のほうは「なんだかなぁ・・」だった。セリフは江戸言葉の早
口だったり、逆にボソボソ言ってて聞き取れなかったりすることが
多いし、自分の知識の無さだろうけど意味や事情がわからない。
江戸の知識があり、時代劇好きな人にはおもしろいのだろうと。

キャストは豪華。戸田恵梨香満島ひかりはすばらしかった。でも。
上映後のトークショーで監督が「“じょご”役を満島ひかりにオファー
していて、彼女は天才だからできるだろうし、そうしたら“おぎん”
役に挑戦したいと。で、スケジュールが空いていた戸田をじょご役
に。結果、とても良かった。いいキャスティングになり、完璧なふ
たりだった、最初はおぎん、危なかったが完璧になった。
おぎんは○○(←出しちゃいけないかな?俳優名)等、わかりやす
い人にお願いしていたらおもしろくなかったかもしれない。」
というようなことをおっしゃり、満島ひかりは天才だけど、いい
演技だけど、ワタシ的には「○○とか」と名前を出された方のほう
が年齢がグッと上なのでわかりやすかったんじゃないかなと思った。
おぎんが常にじょごに対して上から口調で、最後に「私の妹・・」
というセリフがあって、あ〜年齢が離れているということかな、と
やっと察したからだ。
フツーに見たら、このふたりは同年代にしか見えないから。

で、知識がないので筋もよくわからないのだが、何気ない魚売りの
シーン等が、スゴい伏線だったんだ、と後半でわかったり、それぞ
れの女の事情が思っていたのと実は違っていてそれが泣けたりして、
次々と感情を刺激してくる。
なので、知識を持ってみたらすごくおもしろい物語だろうなと思う。

ほかにトークショーで監督が話された印象的なこと。
・当時の人たちが聴いただろう音曲使用。ピアノやじょごの童歌など。
・江戸→鎌倉の距離感 (シーンは夜で暗い)、昔は感度の良いカメ
ラがないから撮れなかった。今はカメラがあってもロケ地が少ない。
・監督はゴルフが好きで、じょごと地蔵のシーンはゴルフ場。
・江戸っ子は話すスピードが早い。聞いてわからない言葉もあるが
あえて入れた。ニュアンスでわかるだろうと。せっかちで「結局→
けっく」等、略しているが「けっく」は僕らも使っている。
陽月華(法秀尼の役)のキャスティング→旅番組で見て、しゃべ
りが良かった。スペインで、無茶ぶりでフラメンコを踊らされていて、
下手だったが感動した。一所懸命でいい女優だなと思った。
・美術や色彩にこだわった。柏屋のセットはすばらしい。日本アカデ
ミーでは受賞しなかったが、この作品以上の美術はない。

などなど。

公開時には見ておらず初鑑賞だったが、撮影話も聞けてトクした~。

 

『 秘密が見える目の少女 』(デンマーク/ノルウェー/チェコ


え、えぇえ〜、そっちに行くんですかぃ。


〈あらすじ・みどころ 映画祭サイトより〉
少女・ディナは、母親から受け継いだ“恥あかし”と呼ばれる、相手
の目を見ると、その者が秘密にしておきたい“恥”とされる過去の行
為を見ることができる不思議な能力を持っていた。ディナは村人か
らも敬遠される、この力を嫌っていた。ある日、ドゥンアークの領
主らの殺人事件が起こり、ディナと母親が事件解決のために呼ばれ
る。しかしそれは領主の後継者・ニコを陥れる恐ろしい陰謀だった。
真実を探るため、ディナは今まで疎ましく思っていた自分の“力”を
使うことを決心する。

プチョン、ブリュッセルモントリオールなど世界各国の映画祭で
上映されている本作。原作の『秘密が見える目の少女』(リーネ・
コーバベル著)は日本でも出版されている児童文学だが、ケネス・
カインツ監督によって、国境を越えて大人が楽しめる作品となって
いる。少女が心の奥の“恥”を見たとき、その者は自分の罪の深さも
知らしめられる。罪悪感・劣等感といったダークサイドをめぐるも
のでありながらそこに人として真実の姿があり、10歳の少女の使命
をもったまなざしは見るものの心を捉えて離さない。脚本は、デン
マークを代表する世界的女性監督スサンネ・ビアと多数コンビを組
み、第83回アカデミー外国語映画賞に輝いた『未来を生きる君たち
へ』も手がけているアナス・トマス・イェンセン。


びっくりした。
映画祭のパンフでは上記あらすじの途中の、事件解決のために呼ば
れる、くらいまでだったので、この能力を使って誰かと一緒に名探
偵になるのか、なんて思っていた。ら。
まさかハメられたとは。パンフだけ見てあっちの“ファンタジー”を
想像していたら、物語は全然違うけど『パンズ・ラビリンス』のよ
うなダークな感じ。

でも冒頭からテンションが上がった。おぉ、映画祭らしいヨーロッパ
映画だ、ワクワク。中世だし。お城とかワクワク。

ドラゴンは登場するけれどファンタジーらしい扱いじゃないし、物
語や展開は全体的にツッコミどころが多いのだが、『ライラの冒険
みたいに(あ、これ残念なことに配給会社がなくなったとかで続編
作られず・・)主人公の少女がかわいくて、ずっと見守りたくなる。