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て言うほど行ってない人間の

2016/京都国際映画祭②

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よしもと新喜劇映画 商店街戦争〜SUCHICO〜 』(日本)

おもろすぎ。公開されたらお金払って観る価値あると思う。

 

〈作品解説〉
吉本新喜劇の座長でもある芸人すち子。真面目で熱血漢の刑事・
春日。職業も性格もまるで違う二人が偶然からコンビを組み、あ
る商店街で起きた連続行方不明事件を追うことに。最初はぶつか
りあう二人だったが、事件の謎を追っていく中で徐々にお互いを
認め合っていく。
そして数々の困難を乗り越え、遂に事件の真相にたどり着いた時、
想像を絶する地獄のショーの幕が開くのだった…。
「男同士の絆」を軸に、ハードなアクションと吉本新喜劇ならで
はの人情喜劇が絶妙にマッチ。誰もが楽しめる痛快娯楽作品。

 

すっちー&元ボクサー・武田幸三のコンビが難事件(?)に挑む。
新喜劇のすっちー出演モノの映画では『西遊喜』はまぁまぁで、有
料で観るほどではないと思った。が、今回は「すっちーってなんで
こんなオモロイん」と何度も大笑いすること必至。
すっちーがパワーアップしたのか、作品がよかったのか。
セリフひとつひとつが、いちいち鋭くオモロすぎる。書くとまった
くおもしろくなくなるだろうから、ネタバレなしで観てほしい。

おなじみのメンバーが出てきて、舞台挨拶ではいろんな裏話が披露
されたが、特に酒井藍(太い女の子ね)のエピソードにはびっくり。
茶店のシーンで多数の料理を食べまくっていて、そのうちスパゲ
ティは、劇中セリフでは7杯目のおかわりだった。こういうのって
食べてるフリしているだけだと思いきや、なんと実際には9杯食べて
たらしい。
「だって、わんこそばみたいに次々出てくるから〜」とのこと。

映画はもう、すっちーが画面に登場するたびに会場は笑いに包まれた。
もちろんツッコミどころ満載だけど、ものすごく楽しくオモロイ作品。
来年あたり、イオンシネマで公開するんじゃないかな。
あ、終盤で「私は“すち子”ですっ」の顔アップとSUCHICOのタイトル
がバーン、と出てラストだと思っちゃうけど、まだまだ続きがある。

 

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"おもちゃ映画傑作選"、生ウタや生しゃべりが楽しい。

さて、アートやお笑いもあれば、映画でも新鮮な試みがある映画祭。
"おもちゃ映画傑作選"も貴重で、めっちゃおもしろかった。


〈作品解説〉
大正から昭和にかけて普及した玩具映写機用に販売された無声映画
フィルムの断片。第1回より好評だった日本アニメのルーツと言わ
れる国産動画作品のプログラム「おもちゃ映画de玉手箱」をお贈り
します。ちびっ子ギャング・シリーズも上映。抱腹絶倒!子どもか
ら大人まで楽しめるおもちゃ映画の世界へようこそ!


活弁士と生演奏が付いたサイレント映画活弁士の活弁は、京都映
画祭ということで関西弁を交えて親しみやすく、より笑えるストー
リーに導いていたし、演奏は、「そぅや生やったんや」ということ
を何度も忘れていたくらい、画面となじんでいた。
まずはおなじみ浦島太郎に桃太郎、一寸法師。手足や首を斬られて
もグロくない絵で逆に笑える。アニメだから何でもアリですね〜と
の解説も。アメリカアニメはキャラクターが…んん?
その時代の特徴やツッコミ解説も多々あり「ミッキーマウスなんだ
けど耳としっぽが違うので実は別キャラ」、フィリックスだったか
猫のキャラ?とか「なんでポパイが日本語しゃべってんねん」みた
いなことも、見ててアレ?と思うよりズバリ納得できて笑える。

ちびっ子ギャング・シリーズというのはアメリカで大ヒットしたド
ラマらしく、そのとおり子供たちが主人公。これがまた、関西弁と
合わせるてのがおもしろくて。会場は笑いが絶えなかった。
ただ単に観るより、解説があったからこそ数倍楽しく感じた。

 

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『沖縄を変えた男』出演のガレッジセール。

『 沖縄を変えた男 』(日本)

し、しばき映画?
殴って殴って、殴って殴る。実際はもっとすごかったらしいが。


〈作品解説〉
琉球水産高校に赴任した栽弘義(ゴリ)は、廃部寸前の野球部の監督を
務めることになった。荒れ果てたグラウンドを見渡すその視線の先に
あるのは、“甲子園優勝”という目標だけだった。
徹底したグラウンド整備から始まり、容赦のない過酷なトレーニン
と苛烈な指導方法で選手たちを鍛え上げていくうち、栽は選手だけで
なく周囲の教師たちからも反感を買うようになっていく。そんな中、
琉水に天才ピッチャー太田(田中永一)が入部してくる。
試練に耐え抜いた部員たちは、優勝も夢じゃないと思い始めるのだが…。
立ちはだかるライバル校・首里学園の壁、太田のケガ、部員たちの反
乱、さまざまな困難を乗り越え、栽と球児たちはやがて沖縄の希望となる。

 

実話がもとで、沖縄で公開中。
「沖縄代表が高校野球で優勝しなければ、沖縄に本当の戦後は来ない」
ってことで弱小野球部を甲子園に導くため、果ては全国優勝するため
赴任した栽監督。
非情にも、在校生にさんざんグラウンド整備をさせて辞めさせ、選手
として指導するのは沖縄中をスカウトして入学させた次の1年生から。
それも「人数が多すぎるな」と、皆が吐くほどのトレーニングを連日
させて人数を絞っていく。で、生徒には毎日のようにビンタの嵐。見
ていてこちらの顔が痛くなりそうだし気分も悪い。
まぁ、ここまでしないと強くなることはできなかったんだろうが…
スポーツものの実話ってたいてい感動するけど、実際には暴力や拷問
みたいなことが多かったんだろうなぁ。描いてないだけなんだろうなぁ。

身も蓋もないこと言うと、なぜわざわざ弱小校を、と思った。劇中で
はゴリの相方の川田が演じる監督率いる“首里学園”が沖縄代表で毎年
甲子園行ってたんだから、そこに赴任してより強くしたらよかったん
じゃ、と考えたのは私だけではないと思うのだが、そのへんの(大人
の)事情は紹介されなかったのでわからず、なんかモヤモヤ。

 

『 劇場版 新・ミナミの帝王 』(日本)


なるほど。安心して見られるドラマなんだな。


〈作品解説〉
大阪・ミナミの金貸し、萬田銀次郎坂上竜一は、金を借りに来た
女子高生・美月と優花と出会う。彼女たちはネット界で人気者だった。
一方、ミナミの街では、一帯をショッピングセンターにするという
触れ込みで次々に店が地上げされていたが、実は地上げ屋・薮田と
政治家の小笠原がカジノを建設しようと陰で糸を引いていたのだった。
二人に利用された美月は、銀次郎たちの顧客の和菓子屋・植村家を
ネットで攻撃してしまう。傷ついた美月と倒産の危機に瀕した植村
家を救うため、銀次郎と竜一は反撃を開始する…。


このシリーズ、初めて見た。竹内力主演の時もタイトルだけは
知っていて、内容は知らなかった。だって、コテコテの大阪でヤミ
金融で・・興味がわかない。
でも今回、あー、このシリーズって水戸黄門とか遠山の金さんとか、
まぁ主人公が主人公だけど、最後に「一件落着」で終わるヤツなん
だな、とわかった。
千原ジュニアぶっきらぼうだが、実は市井の人々の困りごとを解
決するという。ツッコミどころ多数でも、着地が決まってる続きモ
ンもんなんだなぁ。

それに、コテコテ大阪のイメージはなんだかなぁだけどネット社会
の怖さとか現代モチーフがリアルでよかった。

 

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『残されし大地』、スペシャルゲストの高島礼子も。

『 残されし大地 』(日本) クロージング上映


痛し痒し・・・当事者にしかわからないことがいっぱい。


〈作品解説〉
2016年3月22日のベルギーで起きたテロ事件で亡くなった映画音響
技師ジル・ローランが、原発事故後の福島をテーマに製作したド
キュメンタリー。
全町避難の富岡町に残った親子や仮設住宅から南相馬市の居住制限
区域(当時)に一時帰宅する夫婦の姿などが描かれる。
監督の思いを受け継いだ日本人の妻や仲間によって完成された本作
は、マルセイユ国際ドキュメンタリー映画祭に正式招待された。


もうねぇ・・・私は阪神・淡路大震災で自分が育った家が全壊し、
両親やきょうだいは散り散りに避難して大変だったんだけれども。
原発事故が絡んだ東日本のそれは、事情が全然違う。

被災者の姿をカメラはずっと追う。日常会話もおさめる。避難して
いる人は、戻るべきか否か。「でも戻ったって仕事がないでしょう。
若い人がいないでしょう。仕事がないから。だから若い人は戻れない。
じゃあこの先若者がいなくてどうやって地域を存続していくのか」
みたいな、らちあかないんじゃないかというような話も。

一番印象的だったのは、「避難すると、土地を見捨てたみたいでう
しろめたいし、状況が整わないのに、戻ったら戻ったで行政のいい
なりみたいで、どっちにしても、ねぇ」のような女性の吐露。
そっかぁ、国に不満があるのに、行政の言動にも首をかしげるのに。
戻っても戻らなくても。あぁ、聞いててもツラい。

監督は亡くなったので監督の奥様、そして特別ゲストに高島礼子
登場。元だんなさんの騒動後の登壇だったので報道陣の数がスゴく、
この作品より注目されて京都駅まで待ち伏せされていたとニュース
で知って、そちらも気の毒だった。