映画祭に行こう 映画館に行こう

て言うほど行ってない人間の

2015/京都国際映画祭①

(過去分を転記)

10/15~18開催。

〔映画もアートもその後もぜんぶ〕というテーマなので、アート
作品の展示も多数あり、映画は65本上映。私は14作品を鑑賞。

 

沖縄国際映画祭同様、吉本興業の企画なので主に吉本所属のお笑い
芸人が映画舞台挨拶の司会をしたり、アート部門でも出品したりと
大人数で盛り上げてくれる。
レッドカーペット、オープニングセレモニーを拝見すると、当然お
笑いだけでなく主演俳優や監督がたも多数来られて華やかである。
アンバサダー(大使)は桃井かおり板尾創路。ここ数年は、モノ
マネのほうが真っ先に浮かんでしまうなぁ、と思っていたら「清水
ミチコさんと椿鬼奴さんにワタクシはすべて差し上げていますから
ぁ〜」で会場も笑い。
あれらは桃井かおり公認だったんだなぁ(あたりまえか)。
椿鬼奴主演の映画も、桃井かおり制作の映画も見たかった・・。

 

『 追憶 』(日本)

オープニングプレミア上映作品、に選ぶにはカタすぎないか。
案内画像が白黒っぽかったので昔の映画かと思った。

戦時中の1944年、パラオ共和国ペリリュー島では72日におよぶ
激戦で、1万人の日本軍兵士、1700人の米軍兵士が戦死した。現代
に残る資料、遺族の証言からの追憶。この映画祭に間に合わせて短
期間で作ったという。
ナレーション:美輪明宏、ピアノ:小林研一郎

あー、がんばっていてもチョット寝てしまう部分も。しかし戦後70
年、見ておかないと。
現在のペリリュー島、当時の戦争の概要や、遺族が登場する。あの
時、島で何が起きていたのか。空襲や食糧難、疫病・・・
遺族に話を聞くも、当時やりとりした手紙はほとんどが処分されて
いる。数少ない貴重なもののなかで、会ったことがない娘と一緒に
出かけているような絵が描かれた手紙には、胸がギューッとなった。
それは父親の願望だったのだろう。帰国したら、家族揃って散歩に
も、外食にも。しかしそれは叶わなかった。
戦争は悲惨だ、と何度も口にしている当然のことをこれらエピソード
から改めて感じる。

上映前に舞台挨拶があり、こんな映画なのにこの作品の原案の升本
喜年さんにいっぱい笑わせられた。本人は笑わすつもりではないの
だろうが、本を書いたいきさつ等言いたいことが多数ありすぎて前
面に出過ぎ、制止されてもまだしゃべり続けるパターン。
まぁでも会場もバカにした笑いではないし、升本氏も制止されて
ムッとするわけでもない。なんだか楽しい場だった。
まず、司会で登場した清水圭が「いきなり、スボン丈を間違えて出
てきてしまいましたけども〜」で笑いから始まったし。
私はプレス最前列で丈など見えないので「?」だったが、短かった
ということらしい。
登壇はほかに、小栗謙一監督、奥山和由プロデューサー、小林研一
郎(ワタシ的には「わぁ、コバケンや〜」とチョット嬉しい)、途
中からは特別ゲストに元宝塚歌劇団凰稀かなめも。それまでオジ
サンの集団だったので(失礼!)スラ〜っとした美女の登場でイッキ
に舞台が華やぎ、会場からは大拍手。

公式サイトの写真はさすがにうまい!あまり身長差がないように撮ら
れているが、実際のフォトセッション時に皆さんが椅子から立ち上
がると、オジサマたちがすごく小っさく見えて、それが歴然で「…」。
清水圭が「なんか、白雪姫と七人の小人みたいですね〜」、言い得
て妙! で会場爆笑。

小栗監督の「“生きる意味” を考えさせるような映画はたくさんあり
ますが、“死の意味”を感じてほしい」との言葉が印象的だった。


マジック・マイクXXL』(アメリカ)

ロードムービー部分のほうがワタシ的には好きだな。

マジック・マイク』の続編で、チャニング・テイタムが主演。
といっても私は前作を知らない。ストリッパーの男性たちの物語。
引退を決めていた彼らは最後のショーに出ようと仲間と出発する。
バカやってのトラブル、途中途中で知り合う人たちとの再会や再
バカ(?)、だんだんと目的地と開催日が近づいていく。

車の事故は「当たり前やろ!」と笑えるし、知り合った女性の母親
とその友人たちとのワイン飲みまくりのやりとりも大人〜な世界
でおもしろかった。この映画の最大の見どころは最後のショーな
のだろうが、ストリップやムキムキマッチョにあまり興味がない
せいか、自分ではそこは盛り上がらなかった。
ダンスとか、すごかったんだけど。

隣の列で鑑賞していた男性がやたら声を出して笑っていて、終映
後にすばやく出ていったので「?今からゲスト登場なのにな?」と
思っていたら、その男性がゲストのレイザーラモンHGだった。
「僕さっきまでそこの席で見ていたんですよ〜」

トークショー
MC:ヤナギブソン、ゲスト:レイザーラモンHG、ミルクボーイ駒場

映画にちなんでふたりとも上半身裸で登場し、まずは筋肉自慢。
プロレスやボディビルなど、ふたりはまったく違う筋肉経歴で、その
ポーズなども披露して映画の話~ダイエットの話へ。
HGは「糖質制限はX」、理由など説得力を持って述べ、駒場は「産後
の体型回復もも指導できますよ」、とも。女性は思わず食いつく。

最後は、「マジックマイク、フォー!」と叫んだかと思うと「新ギャグ。
マジックマイク、フィー!」・・・
そらダメでしょ、とヤナギブソンが突っ込んでお開きとなった。


『サイドライン』(日本)

“超特急” ファンのための映画。ファンでないと、わけわからん。

超特急?7人組グループらしい。彼らがチアリーディングに挑戦する。
ストーリーは…幼馴染みの7人、うち数人が今は心が離れている。ある
ワケアリ少女と出会った彼らは、町内の祭り開催を機に少女のために
奮闘し、絆を取り戻す。

ツッコミどころ満載。
しかも、超特急のひとりかふたりは、画面に登場するだけで笑いが起
きる。ファンでないと事情がわからない。なにもしてなくても映るだ
けで女性客の多くが笑う。「何がおかしいねん」と怒りを覚えるほど。

チャド・マレーンはおもしろいけど、こんなに日本語ヘタだったっけ。
のだめカンタービレ』ではもっとちゃんとしていたような気がする。
なんせ、超特急ファン以外は見てはいけない・・腹立ってくるよ。

上映後には彼ら7人と福山桜子監督の舞台挨拶があり、女性客の黄色
い声がスゴい。チアの練習は、技術習得にフツー3ヶ月くらかかるが
彼らは10日くらいだったこと、2組に分かれて上に昇る(?なんてい
うんだろ、組体操の上段みたいな?)ひとりが一度落ちてしまった、
などの撮影裏話も聞けた。


『 僕たちの日記 』(韓国)

超新星のソンモ主演映画。オトコの友情に涙する〜。

“超特急” 出演映画のときに「ナニソレ。超新星?」と思ったが
(おばちゃん知らんから)超新星はこっちやった。
といっても顔も名前も私は知らないのでお初。

80年代の話なので、韓国モノだが日本の40代が見てもノスタルジー
を少し感じる。いわゆる “不良” たちの青春物語で、どっちかとい
うとラストは悲しい。
こーゆー人たちは好きじゃなかったし自分と関わることもあまり
なかったけど、映画だとなぜ感情移入&感動してしまうのか。
二人とも、家庭環境が複雑ってのが、泣かせポイントでもある。
東京の映画祭でもオトコ2人の韓国作品があったが、どちらもア
クションやドラマがよくできていて、韓国映画、今回もさすが〜。

さて、舞台挨拶のソンモ登場には、そりゃもう黄色い声、声、声。
(黄色い声って死語?最近聞かない気が。)
ワールドプレミア上映でソンモ舞台挨拶ありってことで、この
チケットは早々に完売したらしい。なるほど。さすがにイケメン。
日本語もずいぶんお話しになるね。
でも、先斗町(ぽんとちょう、と読む。京都の地名。)が思い出
せなくて「京都はとてもキレイで昨日も、ぽん、ぽん、…」
会場から「ぽんとちょう?」「ぽんとちょう!」と何人もの女性の
声が響き、「そうそう、先斗町。昨日も先斗町を歩き回りました。
湯葉を食べました。湯葉おいしい」
会場からはキャァア〜と悲鳴に似た多数の声が。なんやってえぇ
え〜、ソンモが昨日このへんを歩いてたってえぇ〜!! 私も徘徊し
といたらよかったぁあ〜!! みたいな。
この日は17日で、14日夜から京都入りして毎晩のように祇園周辺
を歩き回ってたって。
司会が「もしかして今日も! このあと?」「あ、今日はもう韓国に
帰るので…」会場から今度はドッとため息のような声が漏れた。

この映画の舞台が釜山で、セリフも方言。釜山なまりは得意だろ
うと思われていた彼だが、釜山で育ったのに20歳からソウルで
すっかり釜山なまりが取れて忘れてしまって改めて方言の練習を
した、という以外なエピソードも。
彼が退場するときの会場の “残念感” もすごかった。


『青春をスイング!』(スイス)

楽器経験者として期待したのだが、なんだかなぁ…。

世界を駆け巡るスイスのキッズバンド “スイングキッズ” の青春や
成長を追うドキュメンタリー。撮影期間は7年間になるそう。

劇中で男の子が説明してくれるが、「入る前は、寮生活で週末しか
自宅に帰れなくて、平日は毎日毎日練習漬けなんだと思っていた」
が、練習は週に2日、でも年に50回ほどの有料海外ライブを行い、
その収入で遠征費等すべての支出をまかなっているそうだ。
18歳で退団、17歳からは自分の席を新人に譲り、指導に回る。下
は8歳や9歳など幼く、自分も通ってきた道とはいえ、退団前のハ
ティーンからすればワケわからん行動もする子たち。
7年間、といっても結局全員がクローズアップされるわけでなく、
特定の子たち数人の記録のよう。このバンドを作ったダイ・キモト
氏の「ひとりでも多くのこどもにこのような経験をさせたい」には、
うーん。賛同できるようなできないような。
技術は高いのだけど、人生経験少ない小さいうちから大人の観客を
相手にして「自分はスゴいんだぜ」みたいに思い上がらないのかな
ぁ、と思うのは謙虚な日本人的発想か。

上映前に舞台挨拶があり、現在のバンドメンバー全員と音楽家ダイ・
キモト、この映画の監督のファビアン・キモトが登場。
まず、このふたりがキモトって?親子?というナゾが(わざわざ調
べる気にはならない)。
上映後だったら「サックスのあの子だ〜」とか「あ、あの女の子が
こんなに大きく…」と感慨深くなっただろうが上映前だったのでそこ
は残念だ。年長者には日本が6回目というメンバーもいて、ほとんど
全員がうんうんと頷いていたのが「日本食はおいしい!」ということ。
これは何度聞いても嬉しくなるよね。
映画は…特に感動、はしなかった。


タクシードライバー祗園太郎 THE MOVIE すべての葛野郎に捧ぐ』(日本)

前半は「ハズレかなぁ、ほかの映画見ればよかったかも…」と
思ったが、全編ではなかなかおもしろかった。

劇団・ヨーロッパ企画永野宗典が監督の、紙人形が動く映画。
タクシードライバー祇園太郎は生まれも育ちも京都。ある日美しい
女性を乗せると、のちにその女性が祇園で制作する映画の主演だと
知る。太郎は自分も出たいと…。

ネタバレかもだが、まぁすぐに予想がつく通り?美女にひとめぼれし
て展開も結末も寅さんのよう。(←めっちゃネタバレやがな。)
若い美女にホレてつけ回してエロくてキモいやん、と思った。

しかし後半の展開は荒唐無稽だけど笑えるフェイントもあるし、と
ても楽しかった。いきなり日本語アヤシイ外国人がアヤシイ物を
持ってて銃所持者に追われてるとか、店の主人が撃たれたと思った
らxxx とかなんやねん。と、笑ってツッコめる。
祇園が舞台で、実在の飲食店の方々がモデルで、舞台挨拶にも登場。
に、似てる!紙人形、よく似せてある〜。
その飲食店とは、これが上映された祇園花月のすぐ近くにある “鍵善
良房”、“いず重”、“藤村屋”。おいしい葛きりで有名な鍵善は親子で出
演(?)、息子さんも似てる〜。
最初は親を親とも思わない放蕩息子の設定で、よくこんなんOKした
な〜、親子ともほがらかな人柄なんだろうな〜。

もともとラジオドラマだそうで、映像化にあたってどうしようか考
えた際、「いっそ、世の中の3DやCG全盛に対抗して」紙人形を思い
付いたそうだ。ドイツや韓国で上映予定だそうで、世界に祇園を広げ
たいと意欲的な監督だった。


『だCOLOR? 〜THE脱獄サバイバル』(日本)

おもしろかった〜。ネタバレなしで見るべし。

新たな政治犯削減法が施行された。3人の政治犯がひと部屋に集め
られ、それぞれうしろ手に手錠、頭には自分には色が見えないよう
赤青黄いずれかのカラー帽が。一番最初に自分の帽子の色を当てら
れた者は釈放、誤回答すると死刑になる。3人は自己紹介や質問や
ウソで、心理戦を繰り広げて自分が生き残ろうとする。

3人は、ココリコの田中直樹渡辺いっけい佐藤二朗。当然、観
客には3人の帽子の色が見えていて、赤・青・黄と3色に分かれてい
ないところもミソ。映画祭の画像等で明らかだが、実際は2色なのだ。
ラストはなんだかさわやかなオチ。まさかココリコ遠藤の歌でおわ
り!?ではないのでご安心を。
沖縄国際映画祭でこの作品を見逃したので今回スッキリした〜。

舞台挨拶には、田中直樹と金子傑監督が。MCは浅越ゴエ
観客への「イライラする映画でしたねぇ。政治犯3人で、誰が一番
イライラしましたか」には、渡辺いっけいゼロ、佐藤二朗もゼロ、
やはり…田中直樹が一番イライラする。
ウソつきな役どころなので。しかもイイ人ぶってウソつく「なんだ
コイツ!」な男。佐藤二朗はアドリブの嵐だったそうで、でも客には
あれがアドリブだとはびっくり!
めちゃくちゃテンポよくポンポンしゃべってたもん。
「オーマイマイ○○・・」「(←のセリフの)セカンドシーズン」
とか。監督も意味がわからなかったとのこと。
ラストのほうで、あそこで遠藤章造の歌を挟むか否か、最後まで悩
んだらしい。アレで終わりだと思って帰る客もいるだろうから。
(安心してください、おわりませんよ!)