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て言うほど行ってない人間の

2023 / (TIFF) 東京国際映画祭③

©2023 TIFF

スゴい8歳が出てきた♪



ワールドフォーカス バスク映画特集
『 20000種のハチ(仮題) 』(スペイン) ★エシカル・フィルム賞
※邦題『 ミツバチと私 』1/5公開

 

第73回ベルリン映画祭にて、主役を演じたソフィア・オテロは8歳にして史上最年少で主演俳優賞受賞。自分の性別に悩みを持つ少年とそれを見守る家族の優しさを描く。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3604WFC29



女の子になりたい男の子。
映画『 GIRL 』や、2020映画祭の『 リトル・ガール 』も切なかったし同じことを書いたのだけど。

私にはこどもが複数、男女ともいる。
うち1人は小さい頃からロン毛で赤やピンクが好きな男の子である。
スポーツが好きで、キティちゃんのぬいぐるみも好きだった。
でも女の子になりたいとかスカートを履きたいという願望は全くない。
ボーイ度は全開で、髪を伸ばすのも好きな色も彼の個性なのだ。
運動が得意だからそこそこ人気者らしくイジめられるなんてことはなかったようで毎日元気に走り回っていた。
家庭訪問で聞いた話。息子「先生、皆が "ロン毛ロン毛" って言ぅ〜」
先生「ロン毛やん〜」、息子「せやな〜♪」である。

こんなふうに、女の子になりたいから長髪やスカート、でない嗜好の自由さもあたりまえになればいいなと思う。
しかし今作品は先述の2作品のような "思い詰めた" 展開ではない。
自然のなかで育まれていく感情や関係、良かった。


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いい意味で長い。


コンペティション部門
『 タタミ 』(ジョージア/アメリカ) ★審査員特別賞・最優秀賞女優賞


聖地には蜘蛛が巣を張る』(22)でカンヌ映画祭女優賞を受賞したザル・アミールとイスラエル出身のガイ・ナッティヴが共同で監督した作品。イスラエル選手との対戦を避けるため、イラン政府から棄権を強要された女子柔道選手とコーチとの葛藤を描く。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP14



緊迫感がすごい。
棄権するのか否か、てっきり試合のクライマックスあたりで終了する映画かと思っていた。
ら、まだまだ続くのだ。
ネタバレなしで見ていただきたい作品だけど、ツッコミどころは多い。
国に脅されている選手とコーチ、「われわれが守ります」と言われたって、イランにいる家族が人質でそちらが危ない目に合っているのにどう守るのか。
まぁ、それができないとわかっているから苦しいのだが。
実話が元で、いろんな要素が詰まっていて、スポーツシーンももちろん、迫力あり。


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©2023 TIFF



終盤の彼女の叫びがけっこうスカッとする。



ユース TIFFティーンズ
『 パワー・アレイ 』(ブラジル/フランス/ウルグアイ)


選手権の前日に望まない妊娠が発覚した17歳のバレーボール選手が周囲に巻き起こす波紋を描く。多様な人種が入り乱れるブラジルのLGBT社会も活写される。カンヌ映画祭批評家週間で上映。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3608YUT02



後半40分だけ鑑賞したのだが、そこからでもあらすじどおり展開していてわかりやすかった。
ブラジルでは中絶は違法。
中絶すると言ったことで世間からのバッシング、人殺しと言われたり家に落書きされたり火まで投げ込まれたり。
応援してくれる人たちもいるが少数で、悩みやストレスが膨大していくのはツラいなぁ。
主人公の皮肉を込めたセリフに拍手したくなるし、個性豊かなバレーボール選手たちの絡みが楽しい。


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©2023 TIFF

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主人公のジェーニャもだけど、上官のリタも魅力的。


コンペティション
『 エア 』(ロシア)


第二次世界大戦独ソ戦を戦う女性パイロットが遭遇する過酷な日々を年代記的に描く作品。これまで描かれることの少なかったソ連の女性兵士に『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』(18)のアレクセイ・ゲルマン・ジュニアがスポットを当てた戦争映画。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP02



戦争・戦闘モノなので、しんどくなるのは否めない。
りりしさもあり、キャッキャとかわいらしくもある彼女たちがどんどん死んでいく。
脚色がいろいろあると思うけど、あまり知られていなかったらしい女性兵士たちの物語を掘り起こしていて、見ごたえがあってよかった。
大佐役の俳優は見たことある気がするのだが、セルゲイ・ベズルコフという人だろうか。


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©2023 TIFF

期待したわりに、ぬるい感じだったかな。


アジアの未来 ★作品賞
『 マリア 』(イラン)



ネット社会における映像の流出、ひとりの女優の失踪、その謎を追う映画監督…。事件の真相を求めてミステリー・タッチで描かれる緊迫のイラン作品。本作でデビューのアズガディ監督は28歳。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3602ASF04


日本映画だっていろいろなのだから、イラン映画が同じのばっかりじゃないだろうとは思うけど。
つい、謎が謎を呼ぶヒリヒリはらはらする展開かと前のめりになっていた。
が、ある女優の死亡について主人公っぽい男性のアクシデント、それが婚約者にバレるとまずいのか、嘘に嘘を重ねるのではとワクワクしたのだが、そこはけっこうあっさり。
婚約者は、ちょっとムカつくけど○○しなくちゃ仕方ないでしょみたいに一緒に解明に挑む。

ふつうにおもしろかった。
しかし婚約者の母親がエラく前に出てくるのはなぜだろう。
イランってそういう感じなのかな。


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©2023 TIFF



ガッキーが「うっさい」とか「死ね」とか言う~。


コンペティション
『 正欲 』(日本) ★最優秀監督賞・観客賞 11/10公開



朝井リョウによるベストセラー小説、待望の映画化。稲垣吾郎新垣結衣の新境地。この世界で生き延びるために大切なものを、深い感動とともに提示する。いまの時代に必要とされる、痛烈な衝撃作。

https://2023.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3601CMP01



深い感動は特にしなかった。ツッコミどころも多い。
ただ、なるほどマイノリティたちの居心地の悪さやそのように仕向けている大多数の "普通" との対比など訴えるべきテーマだと思うし、展開にのめり込んだ。

そもそも論として、水フェチであることと人間関係をうまく築けない性格とは別モノだと考えるけど、主人公はどちらも合致する人と出会えたのだから、幸せなことなんだろう。
「この社会で擬態して生きるために、協力し合いませんか」みたいなセリフで一緒に生活をする。
よかったねえぇ、と親みたいな目線になる。
相手に心を開かない主人公も主人公だけど、徳永えり演じる先輩もウザいしわかる気もするし、絶妙。