地域発信型映画。街の活性化や、自分の街の魅力を伝えたい熱意を
具現化。脚本キャスティング、撮影、沖縄でのプレミアム上映、そ
の後の上映会までを地域の方々と吉本興業で企画するプロジェクト。
ガレッジセール・ゴリの監督作品等、興味ある映画が多数あったが、
時間の都合で私が見られたのは5本。正直、玉石混淆って感じ。
素人さんが多数関わるのが多いので。
『 RUMAH ルマ 』(南城市)
情報センターで働くあゆみは勤務歴10年の34歳。インターネット
全盛期の昨今、問い合わせは激減し、彼女は虚しさと孤独感に悩ま
されていた。あゆみが応対する電話は1日に1件か2件のみで、決ま
って老人からだった。ある日、あゆみは数人の同僚と共に突然解雇
を告げられる。導かれるように実家へ帰省すると、長年連絡をとって
いなかった父が待っていた。
これ・・これ・・↑のまんまやった。短編だからというのもあるか
もしれないが、それにしてもこれだけ?と思った。ラストの父の姿は
仕事中で顔わからないうしろ姿から急に別人かと思う正面顔アップに
なる。服装やバンダナが違って私には意図不明。“なんとなーくの雰
囲気感”を漂わせて「いいでしょ」と言いたのかなぁという気がした。
解雇されたというのも、あらすじ読んでないと映像だけでは私はわ
からなかったと思う。南城市のPRでもあるがあまり行きたいとも思
わず、少しガッカリ映画かな。
「ルマ」という言葉も、主人公が夢を見て何度も出てくる言葉。
これも雰囲気なのか沖縄や南城市と関係あるのか終始「??」だ。
舞台挨拶 登壇:ヨセプ・アンギ・ノエン監督、エリカ、新垣正弘
続けて非難するようで申し訳ないが。
おとなしく静かな映画でセリフあまりない主人公なのだが、舞台に登
場すると、はーいエリカですよ〜!みんなもっと拍手〜!!みたいなノリ。
引いたのであとはあまり記憶にない。監督が、故郷であるジョグジャ
カルタと南城市は似ている、ゴーヤも食べるし。くらいかな。
『 こころ、おどる 』(座間味村)
座間味村の民宿にきた外国人夫婦。夫のクリストフはスイス人カメラ
マン、妻のメグは日系アメリカ人で日本語はまったくわからない。民
宿の花城ハナとそこで働く孫の花城雄飛は英語がわからない。しかし
次第にハナと仲良くなるメグに対し、宿にも島の環境にも馴染めず不
機嫌なクリストフ。
心を固く閉ざした彼は、写真を撮りに海へ出て…。
ベタな展開だが一番プロっぽくて安心して見られた。ほかも全作、
海外から監督を招いて作る力の入れようで俳優もプロがいるが…。
メグは母の故郷が沖縄という設定で、自分にはここの血が流れてい
る、と初めて訪れる沖縄で感慨に浸るのも印象的だし、暴力はいき
すぎやろ!というシーンがあるが、あとでシッカリ回収されているの
もイイ。海の美しさを流しとくだけでOKな気がするのに、何度もの
言語のすれ違いが全編笑えて楽しめるドラマになっている。
舞台挨拶 登壇:岸本司監督、ダニエル・ロペス、桃原遥、尚玄
オール英語セリフだった桃原遥は実は元々英語はしゃべれず、この
映画のために教わったのでほかの英語セリフなどもすべて意味わか
らなかったと、逆に夫役のダニエルロペスは挨拶で日本語ペーラ
ペラで驚いた。しかし来日が久しぶりらしく、ペラペラしゃべるの
だが「前に沖縄の海で、えーと」出てこない!と焦った言葉は“ダイ
ビング”だった・・日本語ちゃうやん〜。
座間味村の海は、変わらずきれいだったとのこと。
尚玄という方も私だったのだが、国際的な俳優らしい。シリアス
な夫婦に対して孫役はお笑い担当で、いいキャラだった。
『 たま子と陽迎橋のマジムン 』(浦添市)
13歳のたま子は、大好きな陽迎橋の取り壊しを聞いて、頼りない父
親と一緒に橋保存にむけて奔走する。陽迎橋の名と、500年に一度マジ
ムン(魔物)界と人間界を結ぶ架け橋になるという伝説を重ねたドラマ。
わ〜、映画も舞台挨拶でもレッドカーペットでも、オーラというより
「私、カワイイでしょ」「私、女優よ」感が常に漂う子役だぁ〜、と
一撃された。池間夏海である。いや、態度が横柄だとかイヤな雰囲気
だとかでは全然ない、私がひねくれて見ているだけで、カワイイ女の
子だ。映画冒頭のタイトルの筆文字っぽい陽迎橋の“迎”が間違ってい
るのはなぜ、と気になったが(一画多いやつね)単なるミスだろうか。
子どもが主人公のほほえましい作品。
舞台挨拶 登壇:高山創一監督、池間夏海、比嘉恭平、ぎぼっくす、
大田享、城間やよい、宮川たま子
これは『たま子と○○』という映画の続編らしい(聞き逃した)。
映画には自治会が登場するが、実際に浦添市長も自治会の方々も出
演しているとのこと。池間夏海は共演に芸人が多く笑わせてもらい
楽しかったと、マジムン役は食堂シーンの裏話など披露した。
『 ウゲウゲ! 』(高知市)
高知にもっと観光客を!と意気込む梅太郎。企画を練るも、ふるま
い酒では近所の飲んべえオヤジばかり集まり、観光案内は客の要
望を聞かず強引に自分の意見を推した行動をして何度も空回り…。
私はあまり笑えなかった。出演者の地域の方々が多数会場にいらっ
しゃり、上映前から男女ともワハハワハハと大盛り上がりで、酒
が入っているのかと思うくらい出来上がっている。開映すると、
間寛平の登場シーンもだが自分たちが映るたびにもワハハワハハ、
ドカンドカンと大爆笑。私は最前列プレス席で、彼らはそのうし
ろの2、3列目を陣取っているので、そのまたうしろの一般客たち
が笑っていたのか否か不明。自分たちが映るたびに笑いすぎ。
映画の主人公はニブンノゴという芸人で、間寛平や坂田利夫も出
演していて後者ふたりはおもしろいのだが、主人公も私はイヤ
だった。気性が荒くジコチュー、高知の人ってコワイわぁイヤや
わぁと偏見持ちそうな役柄。
大阪人ってコワイわぁイヤやわぁと一緒。
身内だけで高揚して、全国に街をアピールしようとかそういう趣
旨はこの上映会では感じられなかった。昔、朝の情報番組でいつ
もテレビカメラのキャスターのうしろに映りこんでピースしてい
るこどもたちみたいだ。
舞台挨拶 登壇:間寛平、高明監督
監督「高知の人に惹かれました。ものすごい量の酒飲まされる(笑)
何かをするのに、やるからやらないか決まるまでが長い長い」
(ここでもうしろの出演者陣、ワハハワハハ、拍手拍手。)
間寛平演じる、“Oh,yeah〜!”ばかり言う人物はモデルがいるそう。
「バーで酒を飲んでずっとOh,yeah〜言ぅてた。撮影にも来たけど
ずっと寝てた」客席で盛り上がってた出演者たちも前に出て挨拶。
ラストの宴会シーンは、ノンアルコールで撮影のはずだったが
「飲まないとできん!」と、監督「水を酒に代えられてた。誰も言
うこときかない・・」ワハハワハハ。・・・
2本目の宮城県の映画上映の時や舞台挨拶時は、彼らはおとなし
かった。自分たちのじゃないから関心がないからか、マナーとし
ておとなしくして作品はしっかり見ていたのか。私のうしろだか
らわからないが。なんだかなぁ。
あべこうじ、真野恵里菜が兄妹役。4年ぶりに気仙沼に戻った男性
は、被災地の故郷を盛り上げようとするも、妹に受け入れられず気
まずいまま。同じ仮設住宅で生活する少年とかつての自分が重なり…。
「あの時、アンタはいなかった」この言葉がズシンと響いた。私は
阪神淡路大震災の、間接被災者とでもいえるだろうか。結婚前まで
住んでいた家は全壊し、そこには両親ときょうだい全員がいた。近
所の祖母と伯母も被災し、私はその日に6時間もかかって車で向かい、
両親の頼みで学生のきょうだいだけを大阪に連れ帰った。私の友人
は夫の転勤で横浜に住んでおり、私と同じくご両親ときょうだい夫
婦全員が神戸で被災したそうだ。こっちに来ても大変だから、と友
人は電話で様子を知るだけで、神戸の家族は皆で助け合って過ごし
ていた。その疎外感を「わかるわかる!」と共感しあった日。
知ってていなかったわけじゃないのに…血がつながっている身内で
も、そこにいた者といなかった者の温度差は大きい。20年たった今
でも、それは心のどこかでずっと引っかかっているような気がする。
舞台は宮城だし東北に知人はいないのに、阪神の震災を思い出して
“温度差”について込み上げてきた私だった。
舞台挨拶 登壇:池田一真(しずる)、菊池清嗣監督
出演者からは、タクシー運転手で主人公のことも昔からよく知って
いる役の池田一真が登場し「舞台挨拶、僕でいいんでしょうか・・」
と恐縮。タクシー会社の場面では営業中の撮影だったそうで、電話
予約が通常通りに次々に入り「タクシー、○○地域に1台」なんてい
う社員の声もリアルとか。
監督はある高校生に「被災地・気仙沼でなく観光地・気仙沼にして
ほしい」と言われてハッとしたそうだ。
そして、この映画の地域の出演者の方々も登場。池田一真がそのひ
とりの子役を「今日はおとなしい」と普段と違うことをイジると
「余計なこと言うな!」とマジギレ。すごい形相で本気で睨んでいる
ことが最前列の私にはよくわかってコワかった〜。イジられる=お
いしい、という地域柄ではないのかもしれないが…イジった本人は
「あれぇ〜」と笑って周囲も別の話題に移してごまかすというか
ちゃんと進行していたが。ニラんだ人物、映画に出るというのにこ
んな素人丸出しさんっているのね、とびっくりしてしまった。
この子役が緊張で吐いて撮影ストップしたとか。繊細さんのよう。
こんなふうに素人多数なのでちょっとガッカリも多いのだが…。
ラインナップでは、和歌山の10代の若い監督作品など興味をそそる
映画もいろいろあった。これらも全部見たかったな。
さてさて、5日間のお祭りの中でレッドカーペットやオープンセレ
モニー、お笑いライブも楽しみ、映画は21本鑑賞した。
最終日のオールエンディングは那覇のスクリーンで中継を見る予
定だったが、会場の宜野湾にやっぱり行ってみた。「毎年大感動」
となにかで読んで「ふーん」だったけど…ナマで見て、そこにいて
よかった!!とマジで思った。
“かりゆし58”の「アンマー」も響いたし、次に「もうすぐ今日が
終わる やり残したことはないかい…」と歌われると涙出そうに
なった(曲名:オワリはじまり)これナマで聴くとホント感動〜♪
ET-KINGのイトキンや島袋寛子、オレンジレンジのHIROKIや、いろ
んなバンドなど、かりゆし58の前川真悟の友人たちが次々集まって
豪華で楽しいステージを作ってくれた。お笑い芸人も多数登場で、
ラストは花火。あー、行ってよかったなぁ。
いつも貧乏旅行の私は宿泊代安い那覇は助かるし(1泊1000円!)
飛行機はLCC、交通宿代も食費も土産代もすべて含めて2万円台♪
安宿でシャワー等共同なら個室でも2000円てのも多いし、外食だと
それなりにかかるけど、商店街なら沖縄名物の天ぷらや手作りおか
ずが50円〜、弁当もボリュームそこそこで250円で売ってる風景は
珍しくない。
那覇は久しぶりに行きたかったので旅行も兼ねられて満足。沖縄国
際映画祭は映画もイベントも大半が無料だから、ご興味あればぜひ。