2015/東京国際映画祭①

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(過去分を転記)

10/22~31開催。
アジア最大の映画祭で今年30周年と歴史もあるので、レッド
カーペットやオープニングの華やかさはさすが。
ロボットのpepperのトークがおもしろかった。

 



過去のメルマガでは感想など数十作品、書いたのだけど長々と
しすぎなので、こちらにはいくつか絞って掲載。


『 地雷と少年兵 』(デンマーク/ドイツ)
                                 
よかった。とってもよかった。鑑賞後の印象は『善き人のための
ソナタ』みたい。といっても内容は全然違うし、『善き人〜』は
ラストでぶわーと涙が出て、この作品は泣いたりしなかったけど。

実話がベース。終戦直後、デンマークの海岸沿いの多数の地雷の
撤去作業に、敗残ドイツ軍の少年兵が動員される。憎きナチ兵で
はあるが、戦闘を知らない無垢な少年たちを前に、厳しく暴力的
だった指揮官の心情はだんだん揺れていく。

戦争というのはいつも、尻ぬぐいまで何の罪もない国民がやらさ
れる。“戦争を始めたヤツ”が壊れたいろいろなものを修復したり、
地雷撤去をしたりしないのだ。
そんな当たりまえのことを改めて意識した。

ほとんど戦闘経験がないドイツの少年たち10数人。まさかポーラ
ンド国民に罵倒されたり石を投げられたりされるとは夢にも思わ
ず、数ヵ月で帰れると聞いていた。ところが近隣住民にあからさ
まに暴言を吐かれるし、だんだん食料の配給がなぜかなくなって
飯抜きで働かされるし、質問や反論は許されない。脱走防止に、
寝室となっている小屋は外からかんぬきがかけられる。
鬼軍曹に殴られ蹴られ、ボコボコにされる少年兵。個人的な話を
することも禁止。しかし毎日毎日接しているうちに、少年兵は家
族や故郷のことなど少しずつ話しかけると「黙れ」と言われなく
なり、指揮官に変化が…。
情が出てきたと思ったら、悲劇が起こる。軍曹はまた鬼になり、
以前より厳しくなる。そしてさらに悲劇。
さらにまた悲劇が! 少年たちは生きてドイツに帰れるのか。

主人公の軍曹のみベテラン俳優で、少年兵は新人。デンマーク
戦争被害国だが、このような暗い側面もある、ということを描い
た作品。第2次大戦中にデンマークの海岸に埋められた地雷の数は
200万個に上り、戦後にその処理で900人が命を落としたという。
劇中でも予想通り、処理中に数人が命を落とすのだ。
最優秀男優賞に、軍曹のローラン・モラーと少年兵のルイス・ホ
フマンがW受賞した。

あらすじを書いてしまうと展開はわかった気になってしまいそう
だが、いろんな段階があって、少年兵のそれぞれの境遇があって、
ドラマが濃い。ただ、軍曹に家族はいたのか、それが一切不明な
ので、知りたかったな。それに、あのあと少年たちや軍曹はどう
なったんだろう。それくらい、彼らの中にどっぷり入ってしまい
そうな映画。



FOUJITA 』(日本/フランス)  →Yahoo!映画に。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/352950/review/20/



『 さようなら 』(日本)
                           

ラストに「ここで終わるんやな」と思ったら続き、また「今度こそ
これで終わりか」と思ったらまだ・・そんなことが2回ある、最後
は静か〜な映画。

(ネタバレあり)

平田オリザとロボット研究の第一人者の石黒浩が共同で進めるアン
ドロイド演劇を完全映画化。原発事故後、住めなくなった日本から
抽選順で国民が海外に移住する。順番がほとんど最後のほうの外国
人女性と、彼女を幼い頃からサポートしてきたアンドロイドの交流
を通して、生と死を問いかける。

アンドロイド俳優に引き付けられるが、原発事故のことは単なる
フィクション・SFではないのかもしれないと思えてしまう。
よく考えたらとってもおそろしい物語だ。
それに、主人公の故郷での逆差別やそもそも日本への移民であるこ
と、恋人に「うん、しよう。結婚」とやっと言わせたのに彼は去って
しまったこと、村田牧子演じる知人がなぜなかなか移住できないの
かという理由や、突発的な彼女の行動など、衝撃的なことが多々起
こる。この女性との別れが切なすぎて一番印象的だった。
ホント、生きるってなんだろう。

終盤は静かで、静かで、とっても静かで。どうやって終わったのか
記憶がない。ものすごく考えさせられる展開だったが、やはり映画
としては受賞が皆無だったなぁ。

記者会見にはアンドロイドのジェミノイドF、主演のブライアリー・
ロング、深田晃司監督、石黒先生が登壇。

この映画の撮影方法は演劇と同じでセリフ録音パターン、その場で
打ち込むパターンetc...複数あったそう。
撮影中にトラブルはなく、生でぶっ通しの演劇よりやりやすかった
のではと思う、と。屋外撮影は初めてで、雨に弱いのが難点。
主演で日本語が上手なブライアリー・ロングは「欧米での上演では
人々はアンドロイドに恐怖を感じたようだった。ロボットが人間を
越えるのではないか、そのうちロボットが主演女優賞など取るかも。
だとしたら演技とは何か」と考察を。
それに対して石黒先生は「単純なほうが想像力を引き出す。すごい
美人は少し笑うとすぐわかる。シワが多いとか特徴ある人は大げさ
にしないとなかなかわからないので」。へ〜、そうなのか…な?

監督は「演劇は15分で出演は女性ふたりだけ。そこから連想ゲーム
のように話をふくらませた。死について考えさせる→女性の孤独→
世界そのものが死にゆく状況→リアルな設定は原発の爆発。反原発
ではなく、日本が滅びゆくリアルな題材になった。しかし原発賛成
派の人こそ考えるべき問題。震災後、『がんばろう、日本』という
スローガンに強い違和感があった」。

こ、これは・・めちゃくちゃ深いモノを突きつけられた気分。
やはり、アンドロイドの演技うんぬんよりも、それ以外のことをい
ろいろ考えさせられる作品だ。



『 スリー・オブ・アス 』(フランス)
                                 
笑った笑った。こんなに“感動モノでコメディ”ってかなり珍しいん
じゃあないか。悲惨なことばかりでも、めっちゃ前向きで明るい男
と家族の物語。妻もセンスいいし、妻の両親がこれまたおもろい。


実話がベース。反政府活動の末イランで投獄された男は妻とパリに
渡ろうと…。深刻な内容なのに、山あり谷ありの人生をコミカルに
見せてくれる。人気コメディアンである、実在の男の息子が監督し、
父親役も彼が演じた移民ドラマ。

公開されたらぜひネタバレなしで見ていただきたいのだが、娘さん
と結婚を…という男が職業等ウソついて挨拶に来てたのに、町中に
政治犯として指名手配されている男のポスター(似顔絵)を見た両
親の行動が・・フツーじゃないやろ!!笑える笑える。
ここは脚色かもしれないけど、娘が娘なら、親も親だ♪
それに、刑務所で死にそうなくらいに殴られ蹴られても自分のつま
らない意思を曲げなかった男が、妻のひとことには背筋ピン、で
「はいぃい!」
周囲の男性たちの「男は皆、○○より女房が恐い」、納得。名言だ〜。

でも、命をかけて幼い子も3人バラバラに亡命地を目指し、やっと
フランスへ着いた日、親への電話のシーンは涙モノだった。電話は
盗聴され、それまではつながっても間違い電話を装い、進捗状況を
話せなかったのだ。あぁよかったね、よかったね。
ワタシ的にはそこまでがピークで、以降の地域コミュニティの活動
のことは知識がないせいかピンとこず付けたしのように感じた。



『 モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ 』(メキシコ)
                         
何の賞もなかったが、おもしろくて私は大好き。
これ、主人公カワイソすぎるよ。かわいそうなのに笑っちゃう。
笑ってしまうけど、なんともお気の毒・・・。

(ネタバレあり)

在宅介護していた夫の容体が急変。慌てた妻は主治医に連絡を取
ろうと必死になるが、事態は思わぬ方向に転がっていく。平凡な
主婦が絶望的な行動に走る様を、抜群のテクニックで描くノンス
トップ・サスペンス。

最初から、患者といった立場の人間がいかに弱者でぞんざいな扱
いを受けているかが、これでもかこれでもかと描かれる。
○○先生に会いたい、受付でお待ちくださいと言われるも「1時
間も待っているのよ!」→お待ちを、の繰り返し。そらキレるゎ。
当の主治医は受付からの連絡でそれを聞いても「放っておけ。
帰ったと言え」と同僚とゴルフに出かけようとする。
遠くに医師たちの姿を見た主人公の女性は「今の!今の○○先生で
しょ!答えなさい!」と受付女性の頬だか耳だったかをギューッと
引っ張って泣かせて「そうです」と言わせる…暴力だけどココ
笑っちゃう。
必死で追いかけ、駐車場で逃げられ、タクシーで「あの車を追い
かけて」で自宅まで押し掛ける。
「君、非常識じゃないか」と要望を突っぱねた医師に、女性は
遂に銃を・・・。
あぁ絶望へのカウントダウンストーリーか、と判明して楽しみに。

怒濤の展開がおもしろくって要求がなんだったのか忘れてしまった
が、夫の緊急時で現況の治療法だかその病院の制度だったかでは
助からないので今すぐ変えてほしい、ということだったような。
医療保険も絡んでいたような。(さっぱりわからんな)

女性は息子(高校生?)を連れており、彼は銃を出した母に驚いて
「ママ、ダメだよ!」と言うものの、「(医師夫妻を)縛りなさい!」
との命令にコワイので従い、ヤバイよぉ〜と思いながらも加担して
いく。
ところが書類のサインがその医師だけでは通らないそうで、その家
から出て車で同僚やもっと上の人の自宅等を回ることになる。大企
業にありがちな体質で、私のせいじゃないとか担当・管轄外だから
無理とか、責任転嫁ばかり。物語はそれらに対する批判も込められ
ているのだろう。しわ寄せは、いつも下流へ。

映画は冒頭から、それらのシーンと同時に裁判の口述音声も重なる。
なので「やっぱこの女性は裁判にかけられるんだなぁ」とわかる。
悪いことして最後は逃げちゃって終わる、じゃないのだ。そりゃそ
うだ、夫の容態のことで家族がやってんだから身元バレバレだし。
裁判の音声がなかったとしても、観客は「夫が助かっても妻犯罪者
じゃん」と誰もがわかる。命と引き換えに何やってんだ?と思う。
ところが「こんなことをして、キミは有罪確定だぞ」と医師に言わ
れても女性は「はぁ?なんで私が」。
うわっ正気じゃない! マトモだと考えてやってるんだとわかってお
そろしい。
そりゃ、モトは患者をないがしろにする社会のせいだよ、でもねぇ。

次はどうなるんだどうなるんだとワクワクしてしまう。フィクショ
ンだからね。書類は、本当に他の権力ある者の承認が必要なケース
もあれば、脅されて銃が絡んでいるので時間稼ぎにそう言って回った
ケースもあった。そして「これは無理だ」と言われて銃で足を撃って
大出血も。「救急車は1時間後に呼ぶから。傷つける気はないのよ!」
と電話線を切り、次の目的地へ。コワすぎる!

最終的にCEOだったか、いっちゃん上の人のチョー豪華なペントハ
ウスまで、警備員からコンシェルジュから銃を突きつけて押し入り、
最後のサインを・・・。
だいたい予想はつくが「こんなことしてる間に○○になるんじゃ?」
が起きてしまうのだ。なんという皮肉。なんのためにここまで。
残るは裁判と量刑。

ずっと付き合わされていた息子が、ある家で医師の家族に優しくさ
れるひとときがある。そこの医師と母親が別室で会話中、「お腹す
いてないか?」と料理を出したり、30代っぽいその男性は、少年に
音楽の話をしたりする。ところが銃声の異常事態、男性が母親を止
めようと動くと、少年がそばにあるバットでその男性を殴る。ここ、
すごく切ない。そのバットって、夜中の話し声に家族男性が「泥棒
か?」と手に取って階下に行き、親父の来客か〜と安心してキッチン
に置いたものである。そこに少年がいたので彼は話しかけ…。
イイ人なのに、少年は母親の邪魔をさせまいと…。狂ってく〜。

すんごく興味深かった。昨年の映画祭上映の『ザ・レッスン  授業
の代償』(ブルガリア/ギリシャ)ともちょっと似ているかも。貧
困とか、社会制度とかが原因で、どうにもこうにも自分の生活が
ままならなくなって犯罪に走ってしまい、どんどんどんどんドツボ
になるシニカルさ。目が離せない〜。フィクションと言ったって、
かなり現実的なのだろう。
『ザ・レッスン』は近々日本で公開予定。こんなん好きな方はぜひ。



『 ルクリ 』(エストニア
                         
どうも、ほかの人にはイイ映画らしい。
私はぜんっぜん入れなかった。


人里離れた土地で、自給自足の生活を送る数名の若者たち。突如戦闘
機の轟音が鳴り響き、地域に戦争の気配が満ちていく。時代を覆う不
条理な空気を、個性的な音響と映像で描いていく問題作。

↑というあらすじを見ていたから頭にあったがまず「若者・・・?」
ってとこがずっと気になった。
若者って・・・どう見ても30代も半ばというか、家庭持ってるような
男女に見えるんだが。
のちに「私たち夫婦に干渉しないでよ」というセリフがあるので、
やっぱり家庭持ちじゃん、と。
で、寝たりすることはなく、ずーっとスクリーンを見ていたのにス
トーリーもわからず、映像に惹き付けられることも私はなく。
最後のほう、延々と森を歩いているし。それがなぜか途中で、情報
番組のワイプのように、人物部分が丸くなるし。なんだったんだろう。
でも、ほかのプレスの方々は「よかった!」と言っていた。へえぇ。