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て言うほど行ってない人間の

2014/東京国際映画祭④

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メイド・イン・チャイナ→日本公開時は『鰻の男』

その他部門の映画を区別なくして11本。

★→とってもよかった〜
◎→これもよかった〜
◯→ワタシ的にはイマイチ・・


◎『黄金時代』(中国/香港)

 

見ごたえあったが、3時間は長すぎるよ〜

{1942年に亡くなった女性作家シャオホンの評伝ドラマ。}

「私は31歳で死んだ」という独白のオープニング。そこから幼少の
回想、大人になって妊娠するも夫に逃げられ、大きなお腹でシャオ
ジュンと出会って一緒に暮らし、生んだ子は養子へ。
上海の作家たちとの交流、才能に惹かれたはずなのに次第に彼女に
嫉妬も混じるシャオジュン。日中戦争の混乱で一時ふたりは離れる
が、シャオホンは彼の友人と親しくなり、一旦戻ったシャオジュン
が気づくシーンは切ない。
しかしふたりの破局原因は友人たちの間では未だに謎となっている。
恋多き作家としても有名らしいが、それぞれの別れの切なさが描か
れている。
いろんな人と交流がある彼女、けど日本での生活時に漏らした言葉
にハッとする。「私の友人はいない。全部シャオジュンの友人。私
は一生、孤独」
彼を通じた人脈とはいえ多くの人に慕われ「あなたになら何でも言
える。こんな人は初めて」という女性もいる。なのに。もともと彼
の友人たちだからというのは言い訳で、ずっとさびしく、何か満た
されない思いがあったのだろう。
幼少期の生活が影響しているのかもしれない。

演じたのは人気俳優のタンウェイ。最初の妊娠中のシーンはゆるい
パーマのロングヘア、その後はツインテールのしっかり三つ編みで、
出産後のほうが若すぎて幼くこどもっぽく見えるのが話の経過にそ
ぐわずヘンな感じだった。
そして、冒頭で死ぬことはわかるが、中盤に余命わずかと言われて
からの長いこと。回想シーンが挟まれているのか?と思うくらいだ
が時間は流れ通り。
なんせ長い。いつ死ぬねん。2時間にまとめられると思っちゃう。

 

◎『遺されたフィルム』(カンボジア) 【国際交流基金 特別賞】

カンボジアの歴史と、物語のどんでん返しもすごい。

{厳しい父親に反発する娘のソポンは不良たちと毎夜遊んでばか
り。ある日、古い映画館で昔のフィルムを見る。この女優は若き
日の母・・そして出会った映写技師は母と恋仲だった監督では。
彼女はこの映画のリメイクに奮闘する。}

なんだか認知症みたいな虚ろな母を心配しつつ、こんな風になり
たくないと思う少女。70年代の映画と出会って生活が一変する。
最初の方でなんとなく全体
の展開が見えた気がしてしまう。ところがどっこい、後半に覆さ
れるのだ。
え~そうやったん。驚いた。たしかに思い込んでたなぁ。とか。

ポル・ポト時代ともいわれるクメール政権では、人口の4分の1が
殺害された。映画などの娯楽も規制され、それまで300本以上が
制作されたが、現存は30本ほど。そんな説明の字幕がエンドで出
て『破裂するドリアン〜』の作品同様、他国の歴史も知らないと
いけない、とあらためて思った。
クメール時代が最近取り上げられるようになったがそれは海外メ
ディアであり自国では若者は楽しさばかり求め、経験した世代は
悲惨な思いを閉じ込めたり恥と感じたりして語らず、その子供世
代も聞けない。だから皆知らないらしい。自分はその子供世代で、
母を思って作ったという女性監督のデビュー作。
特別賞、おめでとうございます。



★『メイド・イン・チャイナ』(韓国)

メイド・イン・コリアは正しいのか! という問いかけが刺さる。

キム・ギドク脚本、食の安全問題も鋭く切る。チャンは中国の
養殖ウナギ業者。韓国の検査で水銀が出て輸出禁止に。そこで
チャンは韓国へ密入国し・・}

私は知らないが、主役のパク・ギウンは日本でも人気だとか。
どアップのキスシーンやベッドシーンも多いから、ファンは悲鳴
かも。彼が中国人を演じ、言葉の通じない韓国へ。セリフのない
緊張感が問題をより際立たせる。
中国産は買わない、料理に入ってたら捨てる、口に入った途端に
わかったら吐くほど嫌悪しながら、水銀でアウトになったはずの
魚が偽装されて出回る皮肉。
男が、ベッドを共にした女に向かって静寂を破ってメイドイン
チャイナ! と叫ぶシーンはシニカルで笑える。しかし同じセリフ
が二度三度繰り返されると、深刻さが伝わって笑えなくなって
くるのだ。ずーん。

そして、韓国産は汚れていないのかという問いとともに、三国間
の分析も興味深かった。韓国のチンピラみたいなのが中国人の
チャンに「ちっ、隣の国なのに全く言葉が通じねぇ、日本もそう
だ。この3つの民族は昔っから、ずーっといがみ合ってきたんだろ
うな」みたいに嘆く。ぐぐっ。
なるほどな、日本は中国から漢字や文化をいろいろ取り入れて交
流している気がするが、最近の首脳たちを見ても・・ね。
言葉、だけじゃない。通じないのは。


《Q&Aより》

出席:キム・ドンフ(監督)、キム・ギドク(脚本)

監督「昨年に引き続き、今年も初上映が東京で嬉しい。意味ある
ことと思う」
ギドク「この東京でプレミア上映できることに感謝。観客にも感謝。
監督とは2000年に『時間』で初仕事をした。昨年は『レッドファミ
リー』でプロデューサー、今回は監督。私が書いた本をうまく映画
化してくれた」

・『レッドファミリー』でも冒頭はウナギを食べる。関連の有無は
ギドク:もっかい見直さないといけないですね(笑)←そうだっけ?と
忘れている
監督:たしかに食べていたが、今作のほうが脚本が先。関連はない。

・監督するにあたっての苦労は
脚本はギドクだが、互いの見ている世界は違う。それを埋めること
を考えた。

・日本でもマクドナルド中国産チキンの問題があった。物語構想の発端は

5年くらい前に書いた。韓国に中国のウナギが入ってきて、それが
不正判定と新聞に載っていた。おそらくこれを作っていた家族は悔
しいのではないか、どういう心境なのか考えて話を書いた。ウナギ
やメイドイン○○の話を中心に据えて人間を描きたかった。
韓国でも福島産のニュースが取り上げられている。日本も同じでは。
食べ物への偏見はどこにでもあるのでは。そこの国の人への偏見も
含めて持っているのでは。それを問いかけ、各自で答えを見つけて
ほしいと思った。
タイトルはメイドインチャイナだが、ではメイドインコリアなら
きれいなのか純粋なのかと問いかけたかった。

・主演ふたりへのアプローチは
男性は今回時間がなく、中国語習得が1週間くらいで難しかった。
なのに役も演じてくれたので、あいまにもずっと中国語を練習し
ていた。(実は彼は中国語学科卒だからできると思ったのに実際
にはできなくて、練習してもらったという裏話には笑いが。)
女性のハン・チェアはもともとハツラツフレッシュで都会的な役
が多い。今回は笑顔もなくとても難しい役だったと思う。でもと
ても良い演技をしてくれた。

・男女がひかれあったきっかけがわかりにくいが、理由がある?
ギドク:シナリオ書いた時、男は22、3歳くらい、女は上で40くら
いがいいのではと思った。人生経験があって心に傷があり閉ざし
た女性。そんな彼女が、ウナギを食べて汚染されたという彼にあ
われみを感じるのでは、という設定。
監督:私も同じ。そこまでに少しずつ感情持っていくようにした。

・重要な役割と思われる、飲食店員のような“朝鮮族の中国人” と
いう存在は
映画でも説明があるが彼女は出稼ぎ。貧しくて手段問わず稼いで
いるという偏見。以前より彼らへの不信感が強くなっている。そ
れは韓国人も就職が難しいのに中国人のせいでさらに狭い門にな
るから。現実的に彼らは食堂で働くことが多い。映画で彼女は朝
鮮族だと言うが、でも外国では彼らは中国人だと名乗る。自分の
アイデンティティで悩んでいるのではないか。在日韓国人も、日
本では日本人のように、でも韓国では韓国人と言って暮らしている。


「韓国ではメイドイン〜はじめ、レッド〜も公開が難しい。エン
タメ・娯楽作品でないと受け入れられない。社会性映画は敬遠さ
れる。レッド〜は昨年、観客賞だったから日本公開できた。今回
も皆さんが周囲に感想を知らせてほしい」
とのこと。キムギドク作品は韓国でもてっきり評価高くて大人気
なのだろうと思っていたら、違うのか〜と驚き。
日本人はギドク作品好きだよねー。


◎『北北東』(中国)

おもしろかった〜。サスペンスもありなコメディ?

{強姦事件にデブキャラ警察署長と漢方医のバアさんが挑む。}

「凸凹コンビが・・」というあらすじを見て、カタログ写真に出て
いるめんこい女子との活躍かと思ったら違った。彼女も警察官なの
だがまぁ、中心になる二人を考えたら画を華やかにするためのキャ
ラのような。添え物みたいで、でもチョットおもしろい子なのだが
容姿がこどもっぽすぎてミスキャストな気が。

さてさて、文化大革命後で事件の捜査も現代のようにスッとはいか
ない。足跡から靴の種類→犯人確定を得意としている警察署長が、
今回は手こずる。推理のたびに漢方医に「バカだねアンタは。犯人
は○○したに決まってるじゃないか」などと的確な指摘をされ、ク
ソババアめ〜、みたいに奮闘する。
そう、この老婆がスゴイのだ。しかしなんと、連続強姦事件犯人逮
捕は困難を極め、1年もの月日がたってしまう。何度目かの推理で
署長は「外れたら、俺は警察やめて××屋にならぁ!」とタンカを切った
結果、毎日××を作るハメに。
老婆も年だし地元を離れないよと言っていたのに請われて都会の大
学教授に。数ヵ月で、生活はこんなにも変わるんだなぁ。
さて、1年もたって、事件はどうなっていたのか。終盤は目が離せ
ない。日本公開されるらしいので、中国映画好きな方はぜひ。最後
まで席立たずに。
まさか犯人捕まえられず?と思ったら・・エンディングも楽しい。

 

◎『実存を省みる枝の上の鳩』(スウェーデン/ノルウェー/フランス/ドイツ)

わけのわからない、アートな世界。

スウェーデンの、ロイ・アンダーソン監督の芸術世界。}

どういうストーリー?なんて考えても、他人様に聞いてもムダ。
すべて断片的で、でもまた同じ人物が登場したり・・笑えるとこ
ろで笑ったらいいのだ。
ワインを開けようとして死んでしまう男性、気づかない妻はキッチ
ンで機嫌よく鼻歌〜♪フラメンコ教室で、イケメン生徒に執拗に
つきまとう太めの女性、レストランの前で「私が約束の日時を間
違えたのか・・」と同じこと言うシーンが二度ある男性(一度目と
少し違うが)。おもしろグッズがなかなか売れないセールスマン
コンビ。etcetc...
「後半で抜けたんだけどラストどんなでした?」とほかの人に聞
かれ、えっ、最後・・思い出せない。初対面のプレスの方々にも
質問したのだが、皆さん覚えていないと。それくらい、最後は
ドカーンがあるわけでもなく印象薄い。
気づいたら「あれ、終わっちゃった?」みたいな映画だったと思う。


◎『コンクリートの雲』(タイ/香港/中国)

淡々としているようで、セリフが心に残る。

{米国在住の男性は父親自殺の連絡でバンコクに戻り元カノに
会う。その弟は恋人と心の距離ができていく。金融危機、国際
感覚、今と過去/未来・・}

着地点がないような映画で、これが “不安定” を表しているのか
とも思う。元カノはテレビにも出演するちょっとした有名人だが、
負債額が増え高級アパートが差し押さえに。しかし見栄をはって
生活している。女友達は結婚していき、帰郷した男性とも時が戻
るわけではない。「若い頃は、一生の伴侶がいないと××と思った
けど、いなくてもいいと思えるようになった」。経済事情も含め、
年月はいろんなことを変えていく。
弟はひとりになるので兄に米国留学をすすめられ、恋人とどうす
るか・・その彼女は彼女で、バイトの内容を彼に隠していた。
愛よりもまずは金・生活基盤なのかな・・貧困地域ではないけれ
ど、都会は都会で、少しの程度の落下でひずみが出てくる。日本
でもありそう。


★『ハングリー・ハーツ』(イタリア)

コワイのに少しの温かいシーンが際立つ。それは音楽の効果もある。

{意気投合した男女が同棲、妊娠、結婚。幸せな家族になるはずが、
妻の過激な自然信仰でこどもの命をおびやかす事態に発展する。}

冒頭はおもしろすぎてコメディ?と思うほど笑える!!ふたりの出会い
が最高。出産後、夫婦は子育てで対立することになる。妻の異常な
神経質ぶりがおそろしく、ホラーのようだ。幸せだった前半、そし
て周囲を巻き込んで子どもを奪い合うという緊張が走る後半でも唯一、
心休まる場面がある。それらで流れる管弦とピアノの曲が、涙が出
るほど優しく切なく響く。
最後は、仕方ない、のか・・。極端な例でも、他人事とは思えない。

(蛇足・・映画では妻が狂っていて悪者だが、実際は食物量や栄養
が足りない幼児は泣き叫んだり周囲のゴミまで食べる行為に出る。
しかし劇中の子はおとなしいから妻の主張通り足りてんじゃない?
と私は考えてしまう。まぁ全編泣かせるとジャマだから設定だけを
そうしているのだろうけど。)


◎『ツーリスト』(スウェーデン/デンマーク/フランス/ノルウェー

兵庫の◯◯議員みたい! 今日本で公開したらタイムリー!! 無理だろけど。

{リゾートでスキーを楽しむ4人家族。2日目の食事中に雪崩の実験が
予告なく起き、父親の行動が夫婦・家族間に微妙な亀裂をもたらす…}

題材チョイスがおもしろく、シリアスなハズなのにめっちゃ笑える!!
ずーっと「おいおい・・」とツッコんじゃうし、後半にアレがやって
くる。感想ひとこと目でネタバレしちゃったが、大の男が「うあぁ
あぁ〜!!!!」になるのだっ。もう、おっかしすぎて。
何度かブフフッ♪と失笑。
今公開するなら予告編でココ絶対使うべき。テレビでバンバン流し
たら、ミニシアターにも客わんさか来るのでは?
そして、40男とハタチ女のカップルもラブラブイチャイチャ〜だった
のがこの夫婦からとんだとばっちり。で、ハタチ女が的確なことをグ
サグサ言うのがおもしろすぎ。
そしてラストは・・あれっ、チョット奥さん?


◯『36のシーン』(タイ)

ダメだ、入れなかった。

{映画スタッフ男女の、36のシーンで綴られる作品。らしい。}

36もあるので1シーンが短く、タイトルを次々見て覚えるのも大変で、
いや覚えなくてもいいのだろうが気になって・・。“診療所の前でアイ
スを食べる男の子”、よし覚えたぞ、あれ、男の子なんてどこにいた?
診療所も出てきた?・・“シフト&デリート”、PC関連の話か、でも
キーボードは映ってるが声だけのセリフはPCと無関係?私がアホで
気づかないだけ?・・タイトルと内容が合っているのもあったが、最
後までこの女性にも男性にも好感も興味も持てず、終わってしまった。


★『ノヴァ〜UFOを探して』(マレーシア)

なんか、すんごく感動してしまったよ・・男の友情とか。

{昔のUFO目撃を信じる映画監督バーグは、SF映画を撮ろうと高校
時代の仲間+女性を誘い、UFOが出るという場所を目指して撮影旅
行に出発する。}

この映画の前にも、昨年も、上映後に出演者を見ることは多数あった
のに。なのに、この映画を見終わり、偶然、彼らも同じ室内で鑑賞し
ていて目の前を通って・・・涙が出そうなほど感激した。アリだ!
ソフィアだ! ・・
主要キャストとスタッフの10数人。じーんとして見つめていたら、
ソフィア(←映画の役名ね)が握手してくれた。「さ、さ、さん
きゅう・・」映画とてもよかったですと言いたいが英語が出ない。
するとソフィアからたぶん、「どうでしたか?」みたいに言われた
ので、えーと、えーと、なんて言うんだっけ・・「ぐ、ぐれいと!」
なんて言う始末。goodでよかったのかな・・
デブキャラのアリなんてロン毛そのままで、でも映画ではブサイク
っぽい感じなのに本物はイケメンじゃないか。いや同じなんだけど、
なんかね。やっぱり俳優さんってすごいね。

前置き長すぎた。紅一点と男4人は予想通りのドタバタ。トラブル
ばかり起きるしアリ(デブキャラ)は昔から盗癖疑いがあり嫌われ
者で、特に彼に恨み?を持つ俳優のイジャムは「だいたいなぜアイ
ツを誘ったんだ!」と怒る。
実は顔が売れ出したイジャムも教師のトーユも、皆仕事などで悩み
を抱えていた。それぞれが自分へのいら立ちまで仲間にぶつけてし
まう。
初対面の女性ソフィアがいいつなぎ役だったのだが、彼女も遂にあ
きれ・・。終盤で過去の事実やバーグの思いがわかり・・ベタな方
向なんだけど、私はそれが好きなのかなぁ、展開に涙が出た。
ユーモアもたっぷり。

で、もっかい彼らを見たくて撮影話も聞きたくて、別途舞台挨拶へ。

監督、プロデューサー、主演たち5人に劇中では俳優イジャムのマネ
ジャーぽい役のサラ役も。総勢8人。これ以降もしょっちゅう大人数
の彼らを見たので(ほかの映画もよく鑑賞されてた)、『破裂する
ドリアン〜』チームと同様、とても仲が良さそう(ドリアン〜と
違ってこちらは大人の陽気さが)。
なんと、元々の仲間でこの映画を作ったそうだ。そうかみんな友達かぁ。

マレーシアは映画制作の規模が小さいらしく、俳優であっても希望
の作品に出演する機会になかなか恵まれないらしい。(そうなのか、
『ドリアン〜』ではそんなことは聞けなかったな)なので舞台やテ
レビや広告など、皆さん映画以外の仕事に携わることが多いみたい。
今作はマレーシアの映画事情を表していて、マーケットに乗じて商
業的なものを作らないとというプレッシャー、でもかつての文化を
取り戻したいと考え直す・自分の希望を通したいという思いが込め
られているそうだ。ちなみに“Nova”とは天文学用語らしい。


◎『十字架の道行き』(ドイツ)

毒親だし娘は自分を責めすぎるしコワイ話だけど笑ってしまう。

{キリストの裁判から死に至る14の場面の、少女マリアの受難。}

ミヒャエル・ハネケ、ウルリヒ・サイデル、ブルノ・デュモン
のテイストを好む方は必見」とある。映画通でない私はお二人は
存じ上げないが、サイデル監督だけは昨年、映画祭で知り合った
プレスの方のご厚意でパラダイス3部作を見せていただき、初めて
知った。あの3部作もおもしろかったなぁ〜。
キリスト教でなく、教会にも縁がない人間だから失礼に笑って
しまうのかも。

まず登場する若い神父?膨大なセリフ量に冒頭からあんぐり。
字幕苦労しただろうな〜どれだけ削られてるんだろう、とそん
なことが気になった。

聖歌以外の音楽は野蛮、男の子と話すなんて一緒にいるなんて
イヤラシイ! という母親。マリアはチョーいい子ちゃんで、弟の
面倒は見るし勉強もお手伝いもちゃんとするのに、ちょっと夕
食前に電話がかかってきて話していたら母親がお皿など並べて
「支度は誰がやったと思っているの!」・・。
だから男の子と知り合いになったことも言えず、弟の世話は自
分のほうがうまいんじゃないかと思うことさえ罪だとザンゲす
る。潔癖な親の教えを守れば学校でも不都合が生じて「おかし
な奴」と疎まれる。心身を病んで医者に「イジメなど受けてい
るのでは」と言われても母親がそんなはずない! と反論し「娘さ
んに聞いてるんだ」と言われてもずっと口を出す母親。そりゃ
倒れるゎ。そして遂にマリアは死ぬ。その後の奇跡に、なんと
もいえない気持ち。