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て言うほど行ってない人間の

2018/沖縄国際映画祭②

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ルームロンダリング 』(日本)

ミニシアター好きな方むけの、ちょっと静かな映画。

 

 

〈作品解説〉
ワケあり物件に住み、その履歴を帳消しにするというの秘密のお仕事
=“ルームロンダリング”をしている、八雲御子。いつからか幽霊が見
えるようになった御子は、部屋に居座る"この世に未練たらたらな"幽
霊たちのお悩み解決に奔走させられ…!?
主演の御子を演じるのは、映画『みんな!エスパーだよ!』のヒロ
インに抜擢されて以降、女優として躍進著しい池田エライザ
御子の叔父役に、演技派俳優のオダギリジョー
TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015」にて準グランプリ受
賞した企画の映画化。
監督には、崔洋一廣木隆一らの元で助監督の経験を踏んだ片桐健滋
今作で長編監督デビューを果たす。

 

いつも下を向いて、必要な時には仕方なくボソッと話すような主人公。
彼女がいろいろな事件や出会いを経て少しずつ変わっていくストーリー。
オダギリジョーはそのまんまな役で、主人公の母は不思議な雰囲気で
時々登場する。
終盤でネタばらしがあって、「そういうことだったのか」とわかり、
もうひとつ、「○○よ、お前もか」と言いたくなる。
ハリウッドや邦画の大作ばかり好きな人には不向きな、しんみりと噛
みしめるような作品かな。
舞台挨拶での池田エライザは、もちろん地味な主人公とは違って明る
くて華やかで、グリーンのドレスがかわいかった。

しかし、フィクションだからしゃーないけど、なぜ幽霊って横の壁
とかは通過できるのに、縦は人間と同じなん。ちゃんと2階の床に
立ってたり、ベランダの手すりに座っていたり。"縦は通過しない"
という設定ってヘンやん。などと無関係なことを考えてしまった。
あ、殺されて死んだキャラもけっこう出てくるため、手首がありえ
ない方向にダランと曲がるとかのシーンも多いので、ご注意。

 

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のみとり侍 』(日本)


濡れ場なのに、笑える笑える。


〈作品解説〉
映画『後妻業の女』の監督・鶴橋康夫が、およそ40年間、映画化を
熱望し続けたのが、本作『のみとり侍』。
生真面目すぎるその性格が災いし上司の逆鱗に触れ、猫の“のみとり
業”に左遷されてしまったエリート藩士・小林寛之進を演じるのは、
阿部寛。この他、寺島しのぶ豊川悦司斎藤工風間杜夫、大竹
しのぶ、前田敦子松重豊桂文枝といった個性豊かな豪華俳優陣
が集結!江戸の浮世を懸命生きた“のみとり侍”が、出会い、そして
手に入れたものとは・・・?
前代未聞!侍が巻き起こす“床の間”の戦いの火蓋が切られる!!

 


全体的にはおもしろかった。
ただ、2時間の映画というより、連続ドラマを何話か見た、という
感じ。なぜなら、主人公が左遷されて "猫ののみとり" という職業
と裏家業のことのみでずっとコメディかと思っていたのだが、町
民とのかかわりも入ってきて長いから。
こどもたちに無償で学問を教えている斎藤工がトラブルに遭って
危機に…なんて場面はけっこう延々と続いて、トヨエツはいなく
なっちゃうし、でも観客にはその理由がわかっていて、劇中の町
民は知らないままかなりの日々が流れて…とか、
そのあたりも入れないと場が持たないのかなあ、とか首をかしげた。

なんせ、私が歴史を知らなさすぎるため、藩のこととかその頃の
お上のこととかわからないので、半分も楽しめていないと思う。
この時代が好きな人なら、フィクションでもすごくおもしろいの
ではないだろうか。

舞台挨拶では、監督が猫ののみとり以外にも、カレイの骨取り専
門の侍もいたとか、のみとりは夫が家にいない昼間しかできない
とか、でも「江戸時代中期なんて誰も過ごしたことがないんだか
ら、自由に嘘つける」とか、楽しんでいた様子。
阿部寛は30年前に事務所社長に「鶴橋監督はすごい人だ。使って
もらえるようになるといいな」と言われていてそれが叶った、と。
監督は阿部寛を「私は彼のファン。『ドラゴン桜』あたりからど
んどんよくなって、早く一緒に仕事したいと思っていた」と相思
相愛ぶりを披露。
でも阿部寛に「君はどうなんだ、私とよりも、女優さんがいたほ
うがいいんじゃないのか」など、次々にたたみかけて、阿部寛
困っていたような。で、監督の暴走は止まらず、巻きが入ってい
ても客席にずんずん近づき、「あなたはどうでしたか」と感想を
求めてインタビューしたりと、自由すぎる。
なかなか楽しい舞台挨拶だった。

 


ガチ星 』(日本)


おっさんのクズぶりを、延々と見せられる映画・・。


〈作品解説〉
俳優陣が本物の競輪学校で特訓合宿を行った競輪シーンは、圧倒的な
リアリティを生み、人生を背負った男たちがぶつかり合う姿はまさに
“ガチ”! 変わりたい。ただ頑張り方が分からない---。根性なしの
主人公が不器用にもがく姿に、きっと最後は応援したくなるはずだ。
競輪発祥の地である福岡県の小倉を舞台にした本作のメガホンをとった
のは、福岡発ドラマ「めんたいぴりり」の演出力が評価され、東京五
輪招致映像のクリエイティブディレクションを務めるなど注目のクリ
エイター、江口カン。今回が満を持して商業映画デビューとなる。

 

中年の星だとか、そういう起死回生スポーツもの、と思って見るが・・。
主人公が奮起するのは最後の15分でやっと、なのだ。フツーはもう
ちょっと早いだろうに。「やっとやる気になったか!」と思ったら元
に戻る、の繰り返し。
そこまで延々延々延々、中年男性のクズっぷりをこれでもかと見せ
られる。タバコの煙まで客席に及んできそうなくらい。

若い同級生たちからヒドイことされるけど、自業自得。
こんなおっさん、誰だってイヤやわ。
主人公よりも、孤独にひとり頑張る福山翔大演じる役が光っていた。

しかし、ふてぶてしさ半端なく、表情から何からイヤでイヤでもう
見たくない、マイナスオーラがすごかったのに。
舞台挨拶の安部賢一は・・あれっ。全然違う。見るからにイイ人そ
うで、関西弁で言うとシュッとしてる、イケメンぽい俳優。笑える
ほどイメージが違う。

監督は、主役も崖っぷち俳優を使おうと決めていたらしく、この
オーディションで落ちたら俳優をやめようとしていた彼を起用。
まずクランクイン前に10kg太れ、みっともないオッサンになって
こいと。ドラマシーンでは常にイライラしていろと。
なるほど。
だから女優や若い同級生役の俳優と笑ってしゃべっていたら怒ら
れたらしい。話すなと。
本当にいつもイライラで、みっともない役だった。

競輪シーンでは、若い子が体力あるからできて主人公は元野球選
手とはいえ付いていけない設定だが、安部賢一は父親が競輪選手
で自分も目指したことがあって、経験者なのでどこで力を抜くか
わかっているので、それを知らずに全力で走る若手のほうが皆す
ぐにいっぱいいっぱいになっていたらしい。へぇー。
で、競輪選手を目指すもなれなくて、俳優を目指すも泣かず飛ば
ずで崖っぷちだったと。裏話を聞くと見かたが変わりそうだ。

ただ、鬼教官との冷静な関係はドラマ的によかったけど、試合中
に他選手にケガさせるほどヘルメットを顔にガンガン当てても反
則じゃないとは。スポーツって荒々しくて暴力的でイヤだなぁと
いうのがインドア派、というか私の気持ち。
日大のアメフト問題しかり、ね。あれは反則だけど。
(20歳の日大の彼の会見は、ただただ胸が痛かった・・)

 

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『 洗骨 』(日本)


あ〜笑った笑った。シリアスと笑いのバランスがすばらしい。
"ゴリ" も天才だ。


〈作品解説〉
洗骨──。
今はほとんど見なくなったその風習だが沖縄諸島の西に位置する
粟国島などには残っている。
粟国島の西側に位置する「あの世」に風葬された死者は、肉がな
くなり骨だけになった頃に掘り起こされ、縁深き者たちの手によ
り骨をきれいに洗ってもらうことで晴れて「この世」と別れを告
げることになる。
沖縄の離島、粟国島粟国村に住む新城家。
長男の新城剛(筒井道隆)は、母・恵美子(筒井真理子)の“洗骨”
のために4年ぶりに故郷・粟国島に戻ってきた。
実家には、剛の父・信綱(奥田瑛二)がひとりで住んでいる。生
活は荒れており妻の死をきっかけにやめたはずのお酒も隠れて飲
んでいる始末。そこへ、名古屋で美容師として活躍している長女・
優子(水崎綾女)も帰って来るが優子の様子に家族一同驚きを隠
せない。様々な人生の苦労とそれぞれの思いを抱え、家族が一つ
になるはずの“洗骨”の儀式まであと数日、果たして彼らは家族の絆
を取り戻せるのだろうか?

《“洗骨(せんこつ)”とは》
一度土葬あるいは風葬などを行った後に死者の骨を海水や酒など
で洗い、再度埋葬する葬制。衛生的に問題があるうえ、肉親の遺
体を洗うという過酷な風習であるため沖縄本島では戦後消滅した
とされている。しかし、沖縄の一部の離島で現存していると言わ
れており沖縄における洗骨の意味は、洗骨されないうちでは死者
は穢れていて神仏の前に出られないという信仰があるためだという。

 

ぜひネタバレ検索せずに見てほしい。
冒頭は、葬式のシーンであってもちょこちょこ笑いが起きるのだ
けど、帰郷した娘のお腹がほとんど臨月であることに、家族も観
客も驚かされる。「あ、これ?・・・太った。」
徐々に事情を告白していくシーンに親戚も観客も緊張するのだけ
ど、ある時イッキに笑わせられる。この演出、天才。

そして、日本にこんなことがあるのかとびっくりする、洗骨とい
う風習。監督のゴリも、同じ沖縄でも知らなかったというから、
離島というのはそれぞれに不思議な慣習があるのだなぁ。
ゴリ監督の前作の短編『born、bone、墓音。』もこの作品につな
がっているそうで見たかったが、その時は都合がつかず見られな
くて残念。今回の作品はモスクワ映画祭にも出品で、この沖縄の
あとすぐに行かれるとのことで、日本の、日本人が聞いても驚く
内容や、笑いが海外で受け入れられるのか、興味あるなぁ。

それと、奥田瑛二。中盤で髪を切ったら、あぁ、とわかったが、
それまで気づかなかった。スゴいおじいさんで、人生に絶望して
て何もする気が起こらず、ただ毎日寝起きしている男性を見事に
演じていた。ほんと、くたびれた老人に見えた。
筒井道隆もよかった。絶対笑わない役。
伯母役の大島蓉子もすばらしい存在感。

 

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『 ソドム団長とゴモラ人間 』(日本)


もう、これって感想とか…どう言ぅたらえぇのか。


〈作品解説〉
野性爆弾くっきーが独自の世界観で監督・脚本・音楽を手掛けた、
初の連続ドラマ作品!
戦後直後の日本。不死人間(ゾンビ)が跋扈する危険な時代。あ
る村に現れた異形の大男が、ソドム団長率いる奇妙なサーカス
の一員に迎えられる。“ゴモラ人間”と名付けられた彼は、やがて
踊り子のおこまに恋をし、彼女を振り向かせるために驚愕の行動
にでる。


いやはや、常人には想像もできない世界。
どこかで見る機会があったら、くっきーワールドを楽しんで♪
としか言いようがないかも。